トム・ホランド、ビル・スカルスガルド、ライリー・キーオ、ロバート・パティンソン、ミア・ワシコウスカ、ジェイソン・クラーク、セバスチャン・スタン、ハリー・メリングなど、キャストの豪華さにまず惹かれますよね。ストーリーとしては、“悪魔”とついているので、ホラー的な怖さもあるのかと思いきや、そういう怖さよりも人間の愚かさ、恐ろしさを描いた人間ドラマとなっています。ちょっとだけギョエッとなるシーンはありますが、そういったシーンよりも、人間の愚かさ、不完全さが際だって、“悪魔”とは何なのか、「悪魔はいつもそこに」というタイトルが意味するところは何なのかと、考えさせられます。観ようによってはすごく宗教的な話ですが、信仰心がなくても、辛い時に何かにすがりたくなる気持ち、自分のせいではない何かのせいにしたい気持ちなど、人間の普遍的な心情が生み出す罪を描いているので、誰が観てもある意味身近なストーリーに思えるでしょう。
実力派俳優が勢揃いしていて、皆見事な演技を見せてくれますが、特にロバート・パティンソン、ジェイソン・クラークが演じるキャラクターの悪魔的な雰囲気はリアルで迫力があります。善人か悪人かを問わず、人間がどんどん道を踏み外していく姿を目撃してください。
ロマンチックな展開もちらっと出てくるのですが、ストーリーの98%くらいは、辛い出来事で埋められているので(苦笑)、デートが盛り上がる内容とは言えません。吊り橋効果があるようなハラハラドキドキとはまた違って、ジワジワとくる心理的な怖さがあり、それぞれのキャラクターがどういう選択をするのかを見守りながら観るうちに、観る側も自分の心理の深いところに入っていくと思います。ですので、一人でじっくり観るほうが向いているでしょう。
お化けの怖さとは違いますが、違う意味で怖い要素がいろいろと盛り込まれています。トム・ホランドが演じる主人公の幼少期から青年期を描いているので、キッズやティーンの皆さんは等身大で観られる部分もありますが、それよりも大人の怖さのほうに目が行くかも知れません。若い皆さんは、怖い大人に気を付けるために観るというスタンスでも良さそうです。
『悪魔はいつもそこに』
2020年9月16日よりNetflixにて配信開始
公式サイト
TEXT by Myson