REVIEW

アリスとテレスのまぼろし工場【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『アリスとテレスのまぼろし工場』

良い意味で不気味であり、何だか怖い雰囲気に引き込まれます。序盤はキャラクター同士の不可解なセリフややり取りが引っかかり、何が起きているのかを想像するおもしろさがあります。そして徐々に、佐上という奇妙なことを訴える男性が出てきたり、身体は思春期くらいに見えるのに言葉が拙く野生的な少女が出てきたりと、不可解な要素が増えていきます。後半に差し掛かるところで真相が明かされ、後半は工場のある町の人々がどう生きるかという選択がドラマチックに描かれています。
本作はアニメーションだからこそ表現できる世界観、キャラクター設定が印象的です。一見複雑なストーリーではありつつ、観る側のヒントになるセリフがあるので解釈もしやすいでしょう。いつの時代も10代の若者達が抱える普遍的な感情が描かれていて彼等に向けた応援メッセージにも感じられると同時に、大人への警告にも受け取れます。苦しみを知ることで愛と生きる意味に気付く若者達の姿にキュンとしたら、明日から少し違った気持ちで日々を大切に過ごせるかもしれません。

デート向き映画判定
映画『アリスとテレスのまぼろし工場』

ロマンチックな要素も物語の鍵となっていながら、描かれるのは10代の恋愛なので、気まずくなるようなシーンはありません。ただ、好きでもないのに相手に気を持たせている状態の方は、自分が複雑な気持ちになるかもしれません。内容的に本心から好きな人と観ると、心の距離が一層近づきそうです。友達以上恋人未満で、普段なかなか素直に気持ちを伝えられない関係の2人に特にオススメです。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『アリスとテレスのまぼろし工場』

10代の少年少女が主人公なので、学校や放課後、家庭での出来事など、皆さんにとって身近に感じる内容だと思います。また、自分や友達に気になる子ができたり、恋愛関係も描かれていて、今恋愛中、片思い中の方は余計に等身大で感情移入できるでしょう。
10代のうちは自由に気楽に過ごせるのが特権でありつつ、皆知らない間に大人になります。気付いたら大切なことを忘れていた、なんてことになる前に知っておいて欲しいことが本作には描かれています。

映画『アリスとテレスのまぼろし工場』

『アリスとテレスのまぼろし工場』
2023年9月15日より全国公開
ワーナー・ブラザース映画、MAPPA
公式サイト

ムビチケ購入はこちら

© 新見伏製鐵保存会

TEXT by Myson

本ページの情報は2023年9月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。

  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『HERE 時を越えて』トム・ハンクス/ロビン・ライト HERE 時を越えて【レビュー】

映像作家としてあらゆる挑戦を行ってきたロバート・ゼメキス監督は、本作でも新たな挑戦の成果を見せてくれています…

映画『アンジェントルメン』ヘンリー・カヴィル/エイザ・ゴンザレス/アラン・リッチソン/ヘンリー・ゴールディング アンジェントルメン【レビュー】

本作は「近年機密解除された戦時中の極秘ファイルを後ろ盾にしたダミアン・ルイス著 『Churchill’s Secret Warriors: The Explosive True Story of the Special Forces Desperadoes of WWII』」を原作としており…

映画『少年と犬』高橋文哉/西野七瀬 映画レビュー&ドラマレビュー総合アクセスランキング【2025年3月】

映画レビュー&ドラマレビュー【2025年3月】のアクセスランキングを発表!

映画『BETTER MAN/ベター・マン』ジョノ・デイヴィス 社会的成功が本当の幸せをもたらすとはいえない事例【映画でSEL】

昨今、ウェルビーイングという概念が広まりつつあり、社会的な成功は必ずしも幸福をもたらすとは限らないという見方も出てきました。その背景を、「自己への気づき」(SELで向上させようとするスキルの一つ)に紐づけて考えてみます。

映画『片思い世界』広瀬すず/杉咲花/清原果耶 片思い世界【レビュー】

広瀬すず、杉咲花、清原果耶がトリプル主演を務める本作は、『花束みたいな恋をした』の脚本を手掛けた坂元裕二と、土井裕泰監督が再タッグを組んだ…

映画『神は銃弾』マイカ・モンロー マイカ・モンロー【ギャラリー/出演作一覧】

1993年5月29日生まれ。アメリカ出身。

映画『ファレル・ウィリアムス:ピース・バイ・ピース』 ファレル・ウィリアムス:ピース・バイ・ピース【レビュー】

“ハッピー”や“ゲット・ラッキー”をはじめとする大ヒット曲を多数生み出し、他のビッグ・アーティストへの楽曲提供やプロデュースでも並外れた偉業を成してきたファレル・ウィリアムスの人生が初めて映画化…

映画『ANORA アノーラ』ユーリー・ボリソフ ユーリー・ボリソフ【ギャラリー/出演作一覧】

1992年12月8日生まれ。ロシア出身。

映画『片思い世界』公開直前イベント、広瀬すず/杉咲花/清原果耶/土井裕泰監督 存在するということに対しての肯定を、ここまで実験的に描いた物語もなかなかない『片思い世界』公開イベントに広瀬すず、杉咲花、清原果耶が揃って登壇

劇場公開を目前に控え、本作でトリプル主演を務めた、広瀬すず、杉咲花、清原果耶と、土井裕泰監督が舞台挨拶に登壇しました。

映画『おいしくて泣くとき』長尾謙杜/當真あみ おいしくて泣くとき【レビュー】

タイトルを聞いただけで泣いちゃいそうな作品だと予想できるので、逆に泣かないぞと…

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『キングダム 大将軍の帰還』山﨑賢人/吉沢亮/橋本環奈/清野菜名/吉川晃司/小栗旬/大沢たかお 映画好きが選んだ2024邦画ベスト

正式部員の皆さんに2024年の邦画ベストを選んでいただきました。2024年の邦画ベストはどの作品になったのでしょうか?

映画『セトウツミ』池松壮亮/菅田将暉 映画好きが推すとっておきの映画を紹介【名作掘り起こし隊】Vol.4

このコーナーでは、映画業界を応援する活動として、埋もれた名作に再び光を当てるべく、正式部員の皆さんから寄せられた名作をご紹介していきます。

映画『オッペンハイマー』キリアン・マーフィー 映画好きが選んだ2024洋画ベスト

正式部員の皆さんに2024年の洋画ベストを選んでいただきました。2024年の洋画ベストに輝いたのはどの作品でしょうか!?

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『BETTER MAN/ベター・マン』ジョノ・デイヴィス
  2. 【映画でSEL】森林の中で穏やかな表情で立つ女性
  3. 映画『風たちの学校』

REVIEW

  1. 映画『HERE 時を越えて』トム・ハンクス/ロビン・ライト
  2. 映画『アンジェントルメン』ヘンリー・カヴィル/エイザ・ゴンザレス/アラン・リッチソン/ヘンリー・ゴールディング
  3. 映画『少年と犬』高橋文哉/西野七瀬
  4. 映画『片思い世界』広瀬すず/杉咲花/清原果耶
  5. 映画『ファレル・ウィリアムス:ピース・バイ・ピース』

PRESENT

  1. 中国ドラマ『柳舟恋記(りゅうしゅうれんき)〜皇子とかりそめの花嫁〜』QUOカード
  2. 中国ドラマ『北月と紫晴〜流光に舞う偽りの王妃〜』オリジナルQUOカード
  3. 映画『ガール・ウィズ・ニードル』ヴィク・カーメン
PAGE TOP