主人公の名前がアーヤ・ツール(=操る)という設定からしてすごくわかりやすくユニークですが、一見あざとい言動をする主人公アーヤが魅力的に描かれていて、どこか憎めずキュートです。アーヤはまわりを自分の思い通りにするのが得意ですが、一方で彼女自身が不遇な環境にいるからこそ、その能力が生きるためのものであることも伝わってきます。そして、アーヤの性格があるからこそ、悲壮感が漂うストーリーになっておらず、苦しい状況のなかでも明るく強く生きる少女に共感でき、勇気や元気をもらえます。
登場人物は数少ないですが、皆強烈なインパクトを持ち、多面的に描かれていて、どうやってこの物語が終わるのか最後まで読めないおもしろさもあります。上映時間が83分と短く、これからまだまだ何かが起こるのかと思えば、「え!?」となるラストを迎えますが、ある意味、先読み、深読みし過ぎるユーザーを裏切るストーリーで、「そういう物語だったのか」とふっと一息つかせてくれる内容になっています。
今作はジブリ初のフル3DCG作品というのも見どころで、人物、もの、風景の質感などが物語の世界観を一層盛り立てているので、その点にも注目して観てください。
皆さんご存じの通り、ジブリ作品は大人でも楽しめるので、年齢を問わず、デートで観るのもアリでしょう。ジブリ作品は一定の共通イメージがあるので、初デートでも誘いやすいですよね。上映時間も短いので、1日中デートをする日には、一息入れるタイミングでメニューに加えるのも良さそうです。
上映時間は83分と短いし、子ども達のお話なので、キッズでも等身大で観られると思います。魔法使いのお話というところでも、いろいろと自分に置きかえて楽しめる部分があるので、自分だったらどんな魔法を使いたいか想像しながら観るのも楽しいですよ。一方、ティーンにとっても、印象的な音楽(ロックです!)が使われていたり、ジブリ作品ということでアートの視点でも楽しめるので、興味を持って観られるでしょう。
『アーヤと魔女』
2021年8月27日より全国公開
東宝
公式サイト
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TEXT by Myson