本作は、子どものいない夫婦に卵子を提供するエッグドナー(卵子提供者)に志願した独身主義者の純子とレズビアンの葵の物語で、エッグドナーとは何かということがわかると同時に、さまざまな人生の選択があることも教えてくれる作品です。純子は独身主義者で、30歳を目前にエッグドナーに志願(劇中では29歳までがエッグドナーの対象年齢)します。その理由は本編でご覧いただきたいのですが、まずはその決断力に驚かされます。さらに、純子と葵が「ドナーに選ばれたい」と願いながら、それぞれの思いを胸に一緒に生活する様子が描かれている点もおもしろく、観ている側も2人と一緒に考えさせられます。上映時間は70分と観やすく、結婚や出産、ジェンダー問題に関する価値観についても描かれた良作です。老若男女問わず、多くの方に観て欲しいと思います。
恋愛のお話ではありませんが、将来結婚や出産を考えているカップルに観て欲しい作品です。本作では、エッグドナー側のお話が描かれていますが、提供してもらう側になる可能性もありますし、こういう制度があることだけでもぜひ覚えておいてください。また、これを機にお互いの結婚観や子どもを持つことについて話し合うのも良さそうです。
エッグドナーというテーマが、キッズにはまだ難しいと思うので、中学生くらいになってから観ることをオススメします。ティ−ンの皆さんは、エッグドナーの制度を知ることはもちろん、純子と葵の関係性にも注目して観てください。2人はエッグドナー志願者という点では共通していますが、他の点では違うところがたくさんあります。皆さんの周りにもいろいろな人がいると思いますが、人間関係を築く上でどんなことが大切か、2人を参考に考えてみてください。
『Eggs 選ばれたい私たち』
2021年4月2日より全国順次公開
ブライトホース・フィルム
公式サイト
©「Eggs 選ばれたい私たち」製作委員会
TEXT by Shamy