REVIEW
山田太一著「異人たちとの夏」を原作とする本作は、アンドリュー・ヘイ監督により、物語の舞台を現代のロンドンに置き換えて映画化されました。ロンドンの高層マンションで一人暮らしをするアダム(アンドリュー・スコット)は、ある日突然、同じマンションに住むというハリー(ポール・メスカル)の訪問を受けます。アダムは最初ハリーに警戒心を抱きつつ、ハリーと交流してみることに。そして、孤独を抱える2人は心を通わせていきます。
原作を読まれた方はさておき、どんなストーリーかを知らない方はそのまま何も知らずに観ていただくことをオススメします。ただ、本作の設定は驚きをもたらす点で即効性のあるおもしろさがありながら、時間をかけて咀嚼させる噛み応えもあります。ぜひ、鑑賞後もキャラクター達の心情を振り返り、余韻に浸ってください。
ここからはあくまで私個人の解釈です。ネタバレしないように書いていますが、鑑賞後に読むことをオススメします。
まず、家族は場合によって孤独の大きなきっかけにもなりうると同時に、切っても切れない間柄でもある点で孤独を埋める存在でもあると感じました。アダムの様子はもちろん、ハリーの家族の話からもそれがうかがえます。
そして、人は生きる時もこの世を去る時も孤独だということを描いているように受け取りました。クライマックスでアダムは衝撃的な事実に直面しながら、孤独が自分だけのものではないと悟ったのではないかと思います。
本作は何度も観るうちに新たな解釈が生まれそうです。観る方さまざまに解釈を楽しみつつ、殺伐とした都会であるからこその孤独感、空虚感が漂うロンドンの街の空気にも浸ってください。
デート向き映画判定
ロマンチックなシーンもありつつ、セクシャルなシーンもあるので、初デートや交際ホヤホヤのカップルは少し気まずいかもしれません。個人的には、1人でじっくり観るほうが、キャラクター達の孤独感や空虚感にどっぷり浸れそうな気がします。
キッズ&ティーン向き映画判定
1人で抱えている悩みがある方は余計にキャラクター達の心境をリアルに体感できるのではないでしょうか。主人公は大人とはいえ、子どもの頃の思い出に向き合うシーンがあり、皆さんも共感する部分があると思います。R-15なので、15歳になってから観てください。
『異人たち』
2024年4月19日より全国公開
R-15+
ウォルト・ディズニー・ジャパン
公式サイト
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TEXT by Myson
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情報は2024年4月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。