REVIEW
累計発行部数180万部を超える、ヤマシタトモコの人気コミック 「違国日記」を原作とした本作は、15歳の少女と小説家の叔母の二人暮らしの様子を描いています。交通事故で両親を亡くした朝(早瀬憩)はどこに身を寄せたら良いのか不安になっているなか、叔母の槙生=まきお(新垣結衣)から同居という選択肢を提示されます。ただし、槙生は姉である朝の母とは犬猿の仲で、同居はしても姪である朝のことを愛せるかはわからないと断言。それでも朝は槙生と暮らすことにします。
相手がまだ15歳だろうが、自分の正直な気持ちをぶつける槙生のキャラクターにまず共感します。槙生の言動は一見朝を突き放しているようでいて、朝を子どもではなく一人前の人間として、朝の意思を何より尊重している点で優しさを感じます。そして、一見やさぐれているようでいて、中身は熱い部分にも魅力を感じます。この槙生の多面性を新垣結衣が見事に演じています。屈託のない朝のキャラクターにも好感が持てます。早瀬憩は朝のあどけなさを上手く表現していて、観る側に癒やしを与えてくれます。
生きていれば、誰にでも苦手な人、嫌いな人がいるはず。その人と会わなくなっても、心にはずっとしこりが残ったままでいることもあると思います。そんなしこりから目を逸らさずにありのまま受け止めている槙生の様子を見ていると、少し心がほぐれます。そして、相手を嫌いなら嫌いで良いはずなのに、ずっとしこりが残るのは、その人に優しさがあるからかもしれません。だからこそ、相手を嫌いにもかかわらず、なぜか自分だけ罪悪感が手放せない。そんなジレンマを抱えている人を、本作は正直さと優しさで包んでくれます。
デート向き映画判定
不器用な槙生の恋愛関係も描かれているので、こういう距離の取り方もあるのだなと参考になる部分があるでしょう。人に頼るのが苦手な方、逆にそんな相手を好きになってどうしたら良いかわからない方は、本作で描かれている槙生と笠町信吾(瀬戸康史)の関係性を見ると、焦りが軽減して、少し光が見えてくるかもしれません。
キッズ&ティーン向き映画判定
朝が家や学校で経験する出来事は、皆さんにとっても身近な事柄なので、等身大で観られると思います。ある程度の年齢になるまで、いろいろな判断は親がしてくれます。でも、両親を失い、槙生と暮らすことになった朝は、自分で決めることを求められるようになります。自分の決断の結果を目の当たりにするのは最初は怖いかもしれませんが、朝の姿に勇気をもらえると思います。
『違国日記』
2024年6月7日より全国公開
東京テアトル
公式サイト
© 2024 ヤマシタトモコ・祥伝社/「違国日記」製作委員会
TEXT by Myson
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情報は2024年5月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。
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