REVIEW
社交性に乏しい映画オタクの高校生ローレンス(アイザイア・レティネン)が主人公の本作は、2003年のカナダの田舎町を舞台にしています。ローレンスはとにかく映画が大好きで、ニューヨーク大学への進学を志望しています。でも、母子家庭のローレンスには、ニューヨーク大学へ進学するお金が足りません。そこで、ローレンスは地元のレンタルビデオ店のアルバイトに応募。何とか採用され、ローレンスの日常は一見順調にいき始めたものの、思わぬ方向に転んでいきます。
2003年といえば、日本でもまだレンタルビデオ店が多くありました。実は私も昔、某大手レンタルビデオチェーンでアルバイトをした経験があります。今のルールはわかりませんが、当時私が勤めていたチェーン店では、アルバイトは最新作やフルレンタルの作品以外、つまりお客様にご迷惑をかけない範囲なら、何本か無料でレンタルさせてもらえたんです。若かりし当時はいかにたくさんの映画をやりくりして観るかが課題だったので(笑)、この特権を目当てに、さらに棚に並ぶDVDのパッケージを観て過ごせるので、映画の知識を増やすためにアルバイトをしていました。だから、“コーナー組”を作るシーンも然り、懐かしさが半端ありませんでした。
私の思い出はさておき、本作には不器用なローレンスの暴走が招く、さまざまな失敗が描かれています。ローレンスは人間関係において不器用なだけとはいえ、映画に対する興味が強過ぎる上に、どこか「自分のほうが映画をよくわかっている」という自意識過剰な面があり、知らずしらずのうちに人を蔑んだり、傷付けてしまいます。悪気はなさそうなのである程度は見逃してもらえるものの、相手も人間なので場合によっては離れていってしまいます。
そんなローレンスに幸せはやってくるのかは、観てのお楽しみとしつつ、映画は人と分かち合えるると、もっと幸せを呼んでくれるのだなと改めて感じた1作でした。映画好きはもちろんのこと、何か夢中になるものがある方はきっと共感できる部分がある作品だと思います。
デート向き映画判定
特別デート向きのストーリーではないものの、人間関係について考えさせられるストーリーなので、誰が観ても自分事に感じられると思います。すごく仲が良くて何を言っても許されると思い込んでいる場合にも、教訓を得られる部分があるので、馴れ合いになっているカップルは自分達を客観視するきっかけにもなりそうです。
キッズ&ティーン向き映画判定
自分がすごく好きで詳しいことは、誰にも負けたくないという気持ちが出てくるのも当然です。自分がつけた知識を競い合いたくなる年頃でもあるでしょう。でも、本来は同じ事柄が大好きな者同士なのだから、仲良くなれるはず。ローレンスは映画に夢中で、周囲があまり視界に入っていなかったものの、さまざまな経験を経て、自分の居場所の作り方を学ぶ糸口を見つけます。友達を作るのが苦手な方はヒントを見つけられると思います。
『I Like Movies アイ ライク ムービーズ』
2024年12月27日より全国公開
イーニッド・フィルム
公式サイト
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TEXT by Myson
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情報は2024年12月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。