楔形文字の研究に没頭する学者のアルマ(マレン・エッゲルト)は、あることをきっかけに特別な実験に参加することとなり、そこでアンドロイドのトム(ダン・スティーヴンス)と出会います。トムには“アルマを幸せにする”というミッションが課せられていることから、アルマにロマンチックなアプローチを続けますが、アルマはなかなか心を開きません。そんな2人の噛み合わないやり取りにはクスッと笑える場面もあり、アンドロイドあるあるも多く登場します。全体的にはラブロマンスとして観られるのはもちろん、アルマの性格や過去の経験には共感できる部分もあるので、ご自身の人生や恋愛を振り返るきっかけにもなる作品だと思います。
主人公のアルマを演じたのは、『es〔エス〕』『まともな男』のマレン・エッゲルトで、彼女の素朴で親しみやすい雰囲気がアルマに合っていて、何でも完璧にこなせるアンドロイド、トムとの良いコントラストになっています。そして驚いたのは、ダン・スティーヴンスがドイツ語を流暢に話していること。映画公式サイトのプロフィールによると、ダン・スティーヴンスは英語以外にドイツ語とフランス語も堪能なようです。本作では完璧だけどどこかチャーミングなところもあるアンドロイドのトムをドイツ語で見事に演じています。
トムがアルマの閉ざした心をどう開いていくのか、アンドロイドとの恋愛は成立するのかどうかは本編で観届けていただくとして、「自分がアルマだったらどうするのか」「いつかこんな風にアンドロイドと恋愛をする時代が来るのかな」と想像しながら観るのも楽しいと思います。
本作では人間とアンドロイドの恋愛が描かれていますが、人間同士の恋愛でも役に立つ豆知識が多く登場します。特にトムのセリフには恋愛や人生における名言があるので、ぜひ参考にして欲しいと思います。また、なかなか上手くいかないアルマとトムの恋模様を見つめることで、愛する人がいることの素晴らしさも感じられるので、デートで観ると一層パートナーとの仲が深まる効果も期待できそうです。
キッズの場合はできれば中学生以上になってから観たほうがアルマの抱える複雑な感情をより深く理解できると思います。ティーンは、アルマとアンドロイドのトムの関係の変化を見守りつつ、アルマの心情の変化にも注目してください。本作ではアンドロイドの完璧さと共に完璧だからこその欠点が描かれているの もおもしろい部分なので、もし自分だったらアンドロイドとどう接するのか考えながら観るのもオススメです。
『アイム・ユア・マン 恋人はアンドロイド』
2022年1月14日より全国公開
PG-12
アルバトロス・フィルム
公式サイト
© 2021, LETTERBOX FILMPRODUKTION, SÜDWESTRUNDFUNK
TEXT by Shamy
- イイ俳優セレクション/ダン・スティーヴンス
- イイ俳優セレクション/ザンドラ・ヒュラー
- イイ俳優セレクション/マレン・エッゲルト(後日UP)