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インスペクション ここで生きる【レビュー】

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映画『インスペクション ここで生きる』ジェレミー・ポープ

エレガンス・ブラットン監督自身が体験した実話を基にした物語です。フレンチ(ジェレミー・ポープ)は16歳から家を出て、ホームレス生活を送っていました。25歳になった彼は生きていくため、そしてゲイだという理由で自分を捨てた母に認められようと海兵隊に入ります。本作は海兵隊に入ったフレンチの戦いの日々を描いています。
海兵隊の訓練は過酷を極め、ゲイであるフレンチに対する差別行為はさらに彼を苦しめます。それでもめげずに耐え抜くフレンチには、強い覚悟があります。その強い覚悟の背景には母に認められたいという思いがあります。自分を産んだ母に拒絶されるとはどんなに辛いことだろうと、観ていて胸が痛みます。彼が自分の存在意義を取り戻すために、まず母に認められたいという強い気持ちがあるのも当然です。そして、入隊と同時にゲイを真っ向から否定する姿勢を示す海兵隊で居場所を作るのも至難の業です。本作ではフレンチが人一倍努力する姿と、影で支えてくれる人達と静かに絆を深める様子が印象的に映ります。同時に海兵隊の意外な姿も目にすることができます。ゲイであるフレンチをいたぶる様子もありつつ、一方で同志として認め合う姿には共感します。
本作はフレンチの苦悩を単なる美談に終わらせず、周囲の人々の多面性も描き出しています。フレンチのユーモアや、自分にも他者にも正直な姿に心を打たれます。親子の複雑な愛情の形をリアルに描いていて、もどかしさを感じると同時に、家族だからこそわかり合うことの難しさも考えさせられる作品です。

デート向き映画判定
映画『インスペクション ここで生きる』ジェレミー・ポープ

シリアスな内容でデートムービーではありませんが、2人とも興味があれば一緒に観るのもアリでしょう。主人公フレンチの気持ち、母の気持ちをどう捉えるかでお互いの価値観が少しわかるかもしれません。将来を共にしようと思っているカップルは、自分が親ならどうするかなど感想を述べ合うことで家族観も知ることができそうです。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『インスペクション ここで生きる』ジェレミー・ポープ

本作は母と子の物語です。家族に言いづらいことがあったり、打ち明けたいことがあったら、本作を一緒に観て、話を切り出すのも良いかもしれません。また、本作は家族はもちろん、家の外に居場所を作る大切さも感じさせられるストーリーです。主人公と同じことをするわけではなくても、考え方のヒントを得る、住む世界を変える勇気をもらうきっかけに観てみるのも良いでしょう。

映画『インスペクション ここで生きる』ジェレミー・ポープ

『インスペクション ここで生きる』
2023年8月4日より全国公開
R-15+
ハピネットファントム・スタジオ
公式サイト

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© 2022 Oorah Productions LLC.All Rights Reserved.

TEXT by Myson

本ページの情報は2023年7月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。

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