『箱入り息子の恋』『台風家族』の市井昌秀監督が、夫婦を題材にオリジナル脚本で手掛けた本作。主人公は、結婚4年目を迎える裕次郎(香取慎吾)と日和(岸井ゆきの)です。鈍感な夫にイライラを募らせた日和は、“旦那デスノート”というSNSに日頃の鬱憤を書き込みます。しかし、ある日その書き込みが裕次郎にバレてしまいます。この続きは本編をご覧いただくとして、“旦那デスノート”には日和以外にもたくさんの妻達による投稿があり、「こういう夫って本当にいるな(苦笑)」と感じるものが多くあります。ちなみに、公式の資料によると“旦那デスノート”は実在するSNSサイトのようなので、気になる方は一度覗いてみてはいかがでしょうか。
ただ嫁の日和が優勢なだけでなく、夫の裕次郎ももちろん反撃します。この夫婦を客観的に観ていると、どこかすれ違っているような気がして、もどかしくなる場面もあります。でも、同じようなすれ違いは現実でもあり得ることなので、自分のことも振り返りながら観てみてください。
裕次郎と日和を演じた香取慎吾と岸井ゆきの思い切りの良い演技はとても爽快です。その脇で登場する井之脇海、眞島秀和、余貴美子らが演じるキャラクターも本作の良いアクセントとなっています。夫婦あるあるに頷きながら観るのも良いですし、笑える場面もたくさんあるので、いちコメディとして楽しみながら観るのもアリです。
コメディとしてどんな人でも楽しめる作品です。付き合いの長いカップルや夫婦の場合は、裕次郎と日和の絶妙な夫婦関係をよりリアルに感じられると思います。裕次郎と日和には、それぞれに良いところと悪いところがあり、「なぜそんなに揉めてしまうの?」と思う場面もあります。同じように最近恋愛や夫婦関係が上手くいっていないという方は、本作を観たら解決のヒントが得られるかもしれません。
皆さんの場合は、人間ドラマやコメディを純粋に楽しみながらご覧ください。本作には、“旦那デスノート”というSNSサイトが登場し、日和は夫に対する不満を書いて、ストレスのはけ口にしています。でも、必ずしもこの使い方が合っているわけではないので、これを機にSNSとの付き合い方を自分なりに考えてみてください。
『犬も食わねどチャーリーは笑う』
2022年9月23日より全国公開
キノフィルムズ/木下グループ
公式サイト
©2022 “犬も食わねどチャーリーは笑う”FILM PARTNERS
TEXT by Shamy