本作はオランダで制作された、独特な風貌が魅力的なパペットアニメーションです。監督は、ザ・プロディジー(イギリスのテクノ・エレクトロ・ロックバンド)のミュージック・クリップ制作などを手掛ける女性映像作家マッシャ・ハルバースタッドが務めています。原作は、ヨーロッパのベストセラー小説「クノールの復讐!」です。バブスという少女を主人公に、子豚の運命を左右する家族の物語が描かれています。
と、ここまでの作品プロフィールを読むと、ロックバンドのミュージック・クリップを手掛けた監督の経歴と、可愛らしいパペットアニメーションにギャップがあるように感じるかもしれません。でも、ストーリーがかなりファンキーなんです。世界観はとても可愛いので、「そんな展開!?」と新鮮味を持って観られるでしょう。また、長らく疎遠だったおじいちゃんがやってきて、孫に子豚をプレゼントして一緒に育てていくという設定だけで想像すると、子どもにお手本を示すようなストーリーかなと思うでしょう。実はそこにも捻りが利いています。もちろん、子どもにとっても動物を大事にするというシンプルなお手本が示されています。同時に、大人に対する戒めといえるストーリーともいえます。そういう点で、子どもから大人まで楽しめる作品となっています。
ほのぼのとした世界観とストーリーで、上映時間も短めなので、デートでも観やすい作品です。ただし、食前食後は避けたほうが良いかもしれません。パペットアニメーションなので露骨な描写にはなっていませんが、想像力が豊かな方は食前食後にやや響く展開があります(苦笑)。そこだけ注意して観る時間帯を選んでください。
主人公のバブスはもうすぐ9歳の女の子です。なので小学生なら等身大で観られると思います。バブスは初めて動物を飼うので、動物のお世話に興味がある方は本作を観てシミュレーションしてみてください。前述したように大人が観ても楽しめるし、アーティスティックな作品ともいえるので、中高生でもいろいろなポイントで観て楽しめるでしょう。
『愛しのクノール』
2023年7月7日より全国順次公開
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TEXT by Myson