REVIEW
タイトルは『お隣さんはヒトラー?』で、物語の舞台は1960年のコロンビア…。「むむむ?アドルフ・ヒトラーって、1945年に自殺したはずでは?」と思った方も多いでしょう。実は本作は“ヒトラー南米逃亡説”をモチーフに描かれているんです。
ホロコーストで家族を失い、1人生き延びたユダヤ人のポルスキー(デヴィッド・ヘイマン)は、静かに暮らしていました。ところがある日、隣りに1人の男(ウド・キア)が引っ越してきたことで、ポルスキーの平穏な日々は壊れてしまいます。隣人はアドルフ・ヒトラーにそっくりで、いてもたってもいられなくなったポルスキーは、それから、彼が本物かどうかをあらゆる方法で探っていきます。
前半はご近所トラブルによるすったもんだが描かれていて、ポルスキーは一旦不利な状況に追いやられます。でも、あの手この手で隣人がヒトラーであるという証拠を集めようとするポルスキーは“名探偵”ぶりを発揮。そんなポルスキーの誇らしげな姿がユーモアを交えて描かれています。ただ、“捜査”のために隣人に近づいていくうちに、隣人の予期せぬ一面が見えてきます。
本作で描かれる真相がどうであるかは横に置いておくとして、本作を観ると、人間は相手のアイデンティティの一部だけを見て、相手がどんな人間かを決めつけてしまう悪いクセがあると気付かされます。ドイツ人、ユダヤ人というのはアイデンティティの一部に過ぎず、1人の人間として関わりを持てば、どんどん人となりが見えてくる。そんな様子を本作で観ると、人間にはまだ希望が残っていると感じます。デヴィッド・ヘイマンとウド・キアの名演も見ものです。本作を観て、心をほぐしてください。
デート向き映画判定
老年の男性2人が主人公のストーリーで、ラブストーリーは出てこないものの、人間愛が描かれているので、逆にどんなカップルでも楽しめるはずです。知らずしらずのうちについてしまう固定観念や、人間関係について考えさせられる内容なので、お互いのことを話すきっかけにもなるかもしれません。
キッズ&ティーン向き映画判定
世界史に詳しくなくても、アドルフ・ヒトラーがどんな人物かという基本的な情報を学校で習っていればついていける内容です。私達の人間関係にも通じる部分があるので、新しい視点が得られる部分もあるでしょう。世界史に直接触れる内容ではありませんが、アドルフ・ヒトラーやアドルフ・アイヒマンなど劇中で登場する人物や“ヒトラー南米逃亡説について調べてみると、世界史への興味が広がりそうです。
『お隣さんはヒトラー?』
2024年7月26日より全国公開
STAR CHANNEL MOVIES
公式サイト
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TEXT by Myson
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情報は2024年7月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。
- イイ俳優セレクション/ウド・キア
- イイ俳優セレクション/デヴィッド・ヘイマン(後日UP)