REVIEW

ウィ、シェフ!【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『ウィ、シェフ!』オドレイ・ラミーほか

本作は、『社会の片隅で』など、フランスが抱える深刻な移民問題を社会派コメディとして描いてきたルイ=ジュリアン・プティ監督の作品です。実在するシェフ、カトリーヌ・グロージャンをモデルに物語が作られています。一流レストランで働いていたカティ(オドレイ・ラミー)は職を失い、ある自立支援施設で料理人として働くことになります。カティは自分勝手で自信家な性格で、最初は施設での仕事や人間関係がなかなか上手くいきません。しかし、施設の生徒や周りの教師らと接するうちに、少しずつ心境に変化が訪れます。
施設にはさまざまな背景を持つ移民の子ども達が暮らしていて、18歳までに職業訓練学校に就学できないと強制送還されてしまうという現実に驚きます。これが現代のフランスにも通ずる社会問題の1つだと思うと、とても考えさせられます。本作では、そんな子ども達を支援するために奔走する大人達の姿も映し出されていて、その努力に胸を打たれます。そして、カティが子ども達と交流することでどんな化学反応が起こるのかにも注目です。
本作には、オドレイ・ラミー、フランソワ・クリュゼら俳優陣のほか、実際にパリの移民支援施設で暮らす若者達の中からオーディションで選ばれた子ども達が出演しています。ベテラン俳優勢がリードしながら、子ども達がそれぞれのキャラクターを生き生きと演じる姿が印象に残ります。個人的には料理人に憧れる最年少のギュスギュスがとてもキュートでお気に入りです(笑)。
移民問題というテーマがありながらも、クスッと笑える展開もあり、観終わった後は爽やかな気分になれる作品です。老若男女問わず楽しめるので、多くの方にご覧いただきたいと思います。

デート向き映画判定
映画『ウィ、シェフ!』オドレイ・ラミーほか

恋愛要素はないものの、気まずくなるシーンがないので、デートで観るのもアリです。移民問題をテーマにした作品ですが、カティと子ども達の交流に笑えたり、全体的にカラッとした展開の作品なので、鑑賞後の空気も重たくならずに済みます。また、カティの幼少期が描かれている場面もあるので、これを機にお互いの子どもの頃の話をするきっかけにもなりそうです。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『ウィ、シェフ!』オドレイ・ラミーほか

皆さんと同世代のキャラクターも多く登場するので、共感しながら観られるのではないでしょうか。日本で暮らしていると地域によっては移民文化にあまり馴染みがない方もいると思います。本作を通して世界には移民として暮らす子ども達がいて、さまざまな事情を抱えていることを知り、もし気になったらご自身でも調べてみてください。

映画『ウィ、シェフ!』オドレイ・ラミーほか

『ウィ、シェフ!』
2023年5月5日より全国公開
アルバトロス・フィルム
公式サイト

© Odyssee Pictures – Apollo Films Distribution – France 3 Cinéma – Pictanovo – Elemiah- Charlie Films 2022

TEXT by Shamy

  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画学ゼミ2025年12月募集用 人間特有の感情や認知の探求【映画学ゼミ第3回】参加者募集!

今回は、N「湧き起こる感情はあなたの性格とどう関連しているのか」、S「わかりやすい映画、わかりにくい映画に対する快・不快」をテーマに実施します。

映画『ナイトフラワー』北川景子/森田望智 ナイトフラワー【レビュー】

『ミッドナイトスワン』で第44回日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞した内田英治監督が、“真夜中シリーズ”と銘打つ本作は…

映画『Fox Hunt フォックス・ハント』トニー・レオン 『Fox Hunt フォックス・ハント』一般試写会 5組10名様ご招待

映画『Fox Hunt フォックス・ハント』一般試写会 5組10名様ご招待

映画『新解釈・幕末伝』山下美月 山下美月【ギャラリー/出演作一覧】

1999年7月26日生まれ。東京都出身。

映画『もういちどみつめる』筒井真理子/髙田万作 もういちどみつめる【レビュー】

「18・19歳の厳罰化を目的とした、2022年の少年法改正に対して抱いた疑問から制作を始めました」(映画公式サイト、佐藤慶紀監督)とあるように…

映画『喝采』ジェシカ・ラング 『喝采』一般試写会 10組20名様ご招待

映画『喝采』一般試写会 10組20名様ご招待

映画『ヒックとドラゴン』メイソン・テムズ メイソン・テムズ【ギャラリー/出演作一覧】

2007年7月10日生まれ。アメリカ生まれ。

「Kodansha Studios 設立発表会見」野間省伸(株式会社講談社 代表取締役社長)、 クロエ・ジャオ(Kodansha Studios 最高クリエイティブ責任者)、 ニコラス・ゴンダ(Kodansha Studios COO) 映画業界に新風を吹かせられるか?2025新レーベル発足および官民の取組みまとめ

今回は近日発足された新レーベルと、官民の取組みについてまとめて紹介します。

映画『果てしなきスカーレット』 果てしなきスカーレット【レビュー】

細田守が原作、脚本、監督を担当した本作は、16世紀のデンマークの王女、スカーレットが主人公です。細田監督は…

映画『ブラックフォン2』イーサン・ホーク/メイソン・テムズ ブラックフォン2【レビュー】

2022年に作られたシリーズ1作目『ブラック・フォン』から4年後を描いた本作でも…

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画学ゼミ2025年12月募集用 人間特有の感情や認知の探求【映画学ゼミ第3回】参加者募集!

今回は、N「湧き起こる感情はあなたの性格とどう関連しているのか」、S「わかりやすい映画、わかりにくい映画に対する快・不快」をテーマに実施します。

映画『悪党に粛清を』来日舞台挨拶、マッツ・ミケルセン 映画好きが選んだマッツ・ミケルセン人気作品ランキング

“北欧の至宝”として日本でも人気を誇るマッツ・ミケルセン。今回は、マッツ・ミケルセン出演作品(ドラマを除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。上位にはどんな作品がランクインしたのでしょうか?

映画『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』ウェス・アンダーソン監督 映画好きが選んだウェス・アンダーソン監督人気作品ランキング

今回は、ウェス・アンダーソン監督作品を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。人気作品が多くあるなか、上位にランクインしたのは?

学び・メンタルヘルス

  1. 映画学ゼミ2025年12月募集用
  2. 映画『エクスペリメント』エイドリアン・ブロディ
  3. 映画学ゼミ2025年11月募集用

REVIEW

  1. 映画『ナイトフラワー』北川景子/森田望智
  2. 映画『もういちどみつめる』筒井真理子/髙田万作
  3. 映画『果てしなきスカーレット』
  4. 映画『ブラックフォン2』イーサン・ホーク/メイソン・テムズ
  5. 映画『TOKYOタクシー』倍賞千恵子/木村拓哉

PRESENT

  1. 映画『Fox Hunt フォックス・ハント』トニー・レオン
  2. 映画『喝采』ジェシカ・ラング
  3. 映画『TOKYOタクシー』オリジナルパラパラメモ
PAGE TOP