女性が法曹界で活躍する機会を与えられていなかった時代に、その道を自ら切り開き、弁護士時代から一貫して女性やマイノリティの権利発展に努めてきたルース・ベイダー・ギンズバーグ。本作は彼女の日常と、過去を振り返るドキュメンタリーで、第91回アカデミー賞<長編ドキュメンタリー賞>&<歌曲賞>2部門にノミネートされた作品です。彼女は1993年にビル・クリントン大統領に女性として史上2人目となる最高裁判事に指名され、今なお現役で活躍中。映像の中では筋トレをする姿も映っていて、何ともパワフルですが、“85歳にしては”というのではなく、若かりし頃からずっとパワフルで、知性に溢れた女性だったことが本作を観れば一目瞭然です。彼女の実体験をもとに、フェリシティ・ジョーンズが主演を務め実写映画化した『ビリーブ 未来への大逆転』を観た方もいらっしゃると思いますが、本作ではその背景がより詳しく映し出されていると同時に、老年期に入ってからの彼女のストーリーが多く収められていて、生真面目ながらチャーミングな彼女の姿もたくさん観ることができます。アメリカではアイコン的存在になっているようですが、本作で彼女のこれまでの奮闘を知れば納得。女性として、妻として、人間として学ぶべき事柄がたくさん詰まった作品となっていて、老若男女問わずオススメです。
仲睦まじいルースとマーティンの夫婦関係も映し出されていて、運命的な縁ってあるのだなと思えて、勇気をもらえるでしょう。男尊女卑がもっと色濃く残っていた時代に珍しいタイプだったとルース自身が語る夫のマーティンは、本当に男性の鑑と言えるキャラクターの持ち主。出会った時から彼女の知性に関心を持ち、彼女のキャリアを支え、高みに登るために尽力したマーティンの姿からは、仕事に生き甲斐を感じながら一生懸命働いている女性とのつきあい方のヒントが得られると思います。
キッズやティーンの皆さんが観ても、良い刺激をたくさんもらえるドキュメンタリーです。映画鑑賞歴が浅い人にとっては、ドキュメンタリーって、小難しい印象があるかも知れませんが、全部理解できなくても、大事だなと思えるエピソードや言葉がいくつも出てくるので、自分なりに大切だと思ったことを書き留めたりして、頭の片隅に置いておくだけでもためになると思います。年齢は関係なく、使命感や強い心があれば、人はこんなにも強くなれるんだなと勇気をもらえますよ。
『RBG 最強の85才』
2019年5月10日より全国公開
ファインフィルムズ
公式サイト
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TEXT by Myson