シーズン1
舞台は第二次世界大戦後のハリウッド。そこでは、役者や脚本家、監督として活躍することを夢見る若者、夢に破れた者、成功者など、さまざまな人達の人生が交錯しています。本作は、そんなハリウッドで俳優を目指す帰還兵のジャック(デヴィッド・コレンスウェット)と、彼を取り巻く人々の群像劇です。ジャックはルックスが抜群に良いですが、ハリウッドではそんな人はたくさんいて、それだけでは通用しません。俳優になる手立てが見つからず早くも挫折感を味わったジャックは、身重の妻を抱えていることもあり、俳優になれるまでの職を探します。そんな時にジャックに声をかけてきたのがアーニー(ディラン・マクダーモット)。彼もかつては俳優を目指していましたが、夢に破れ、ガソリンスタンドを経営しています。実はこのガソリンスタンドはちょっと訳ありで、ハリウッドらしい裏稼業を営んでいます。ジャックはそのガソリンスタンドで渋々働くことに決め、好ましくない方法で生計を立てながら俳優を目指すことになります。でも、その裏サービスを利用するセレブがたくさんいたことで、ジャックはコネを見つけ、映画業界に足を踏み入れていきます。
どんな風にジャックの人生が動き出すかは本編を観て頂くとして、本作のおもしろさは、ただのサクセスストーリーを描こうとしているのではなく、弱肉強食社会の最たるものとしてのハリウッドの姿をありのままに描き、人種差別や性差別、同性愛者への偏見が文化、芸術にいかに大きな影響を及ぼしてきたかを訴えかけている点にあります。また、ドラマの中にヌードや塗れ場は頻繁に出てくるし、パワハラやセクハラが横行しているのも、まさにハリウッドという感じですが、表のキラキラした面とは裏腹に、映画界の第一線で活躍する人達自身もいかに本当の自分を押し殺して生きてきたかが映し出されていて、それぞれのキャラクターに親近感が湧きます。なぜそこまでして彼等がその仕事をするのかと考えずにはいられなくなりますが、そんなハリウッドだからこそ、勇気を振り絞って立ち上がった人達の行動がミラクルを起こすとなお感動!そんな彼等が作った作品を通じて、結局私達観客もハリウッドという世界に魅了されるのかもしれません。映画好きとしては共感せずにはいられない要素も満載で、映画の力を信じて働いている人達の姿に自然に涙が出てきます。私は改めて「だから、映画はやめられない!」と思いました!海外ドラマは観たことがないという映画ファンにもぜひ観て欲しい作品です。1シーズン7話だけなので観やすいですよ。
あと、キャラクターの魅力も強調したいところ。ヴィヴィアン・リーなど実在のスターも役として登場するし、実在の映画の名前も出てきます。クセの強いキャラも見どころで、特にジム・パーソンズが演じるヘンリーは本当に灰汁が強くて、超絶なキモさを通り越して、最終的に笑えるところまで持っていっているのでぜひ注目してください(笑)。
『ハリウッド シーズン1』
2020年5月1日よりNetflixにて配信開始
公式サイト
Saeed Adyani/Netflix
TEXT by Myson