シーズン1
REVIEW
メディア王として知られるルパート・マードックをモデルにしたとされる本作は、ファミリービジネスに翻弄される一家を主人公にした群像劇です。ルパート・マードックは、1931年3月11日生まれで、ちょうどこのレビューを書いている頃、2024年6月3日に、93歳で5回目の結婚をしたというニュースが報じられました。また、2023年9月21日(米国時間)に、フォックスコーポレーションとニューズ・コーポレーションの会長を退任することを発表し、現実世界でもまだまだ“帝国”の行方は注目を集めているようです。
シーズン1の最初の数話は、メディア王として君臨するローガン・ロイ(ブライアン・コックス)と子ども達、そして、彼等の周りにいる人達の力関係が描かれています。ローガンには3人の息子と娘が1人いて、子ども達は皆ローガンに評価されたいと思っていると同時に彼を恐れています。シーズン1では、きょうだいの中でもケンダル(ジェレミー・ストロング)がファミリービジネスに波紋を広げ、跡継ぎ争いと企業買収をテーマにシリアスなテンションが続きます。
家族とはいえども、お互いにいつも腹の探り合いをしている状況が怖すぎるのと、超富裕層の毒気を凝縮して前面に押し出したキャラクターが勢揃いしている点で、正直なところ最初は感情移入ができそうなキャラクターが見つからないかもしれません。ただ、だんだん一人ひとりの性格や背景が見えてくると、共感といおうか同情が生まれてくるはずです。
そして、何といってもキャスト達の名演が見ものです。まず、貫禄が抜群で、子ども達や部下達に容赦ないローガンをブライアン・コックスが見事に演じています。ジェレミー・ストロングは、野心が旺盛ながら、父ローガンとの関係で公私ともに一番追い込まれていくケンダルの複雑な心境をリアルに表現しています。キーラン・カルキンは、つかみどころのない変わり者ローマンの役にピッタリです。ニコラス・ブラウンは、周囲に舐められているように見えて侮れないところがあるダークホース的キャラクターのグレッグを好演しています。そして、マシュー・マクファディンが演じるトムは、出世するためにローガンに取り入ろうと必死のまさに”上辺だけ”の男として、ドラマを盛り上げます。さらに、ジェームズ・クロムウェルが演じるユアンはここぞという場面で登場し、読めない展開をもたらします。
スケールの大きいビジネスのウラ側を覗くおもしろさと同時に、富と名声があるがゆえの歪な家族の物語を描いたドラマとなっています。シーズン2はこれ以上の波乱が待ち受けていると思うと期待が膨らみます。
『メディア王~華麗なる一族~ シーズン1』
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TEXT by Myson
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情報は2024年6月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。
- イイ俳優セレクション/キーラン・カルキン(後日UP)
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