シーズン4
REVIEW
寂しいですが、本シリーズは今シーズンでオールラストです。でも、最後の最後まで荒れまくりますよ!これまで企業を買収する側だったウェイスター・ロイコ社は、ある企業の売買交渉のなか、形勢逆転されてしまいます。これにより、ロイ家の中の対立構造も大きく変わります。
前シーズンまでで、ケンダル(ジェレミー・ストロング)、シヴ(セーラ・スヌーク)とローマン(キーラン・カルキン)は、順に後継者の可能性をほのめかされながらも期待を裏切られてきました。だから3人は常にライバルとして父ローガンに認められるようにもがいてきたわけですが、誰も継げない可能性が浮上してきたことで、きょうだいで結束しようとする動きが出てきます。
正直なところ、シーズン1では好きになれるキャラクターが出てこないのではないかと思うくらい、どのキャラクターも憎々しい性格が前面に出ていましたが(笑)、シーズンを経るに連れ、それぞれが抱える苦悩が見えてきて、同情できる部分も出てきます。さらに今シーズンではきょうだい同士で支え合う姿も出てくるので、一層彼等の将来が心配になり物語に引き込まれます。
そして、まさかの展開も起こるので、きょうだいの結束はさらに深まります。とはいえ、それでも会社をどうするのかという問題は続くので、家族関係と仕事関係で複雑な思いが交錯していきます。長男のコナーは相変わらずの立ち位置でありながら、別の展開で要になってきます。政治と経済の関係、超富裕層と政治家の癒着の生々しい現実を垣間見られるのも本シリーズの特徴でしょう。
さらに、これまで小物扱いをされ続けてきた人物もロイ家に訪れた大きな出来事に乗じて暗躍します。恋愛も含めてこじれまくるので、本当に最後まで結末が読めません。ロイ家のきょうだいを応援したくなる気持ちはあるものの、現代社会ではこれが現実的なんだろうという結末が頭をよぎります。
本作は主に同族経営に物申すストーリーなので、そこがドラマチックであるのは当然ながら、背景に政治的取引も描かれているので、いち庶民としては、一握りの権力者の個人的な欲による支配がまかり通っていることに恐怖を感じました。また、自分が実社会で実践するわけではないとしても、ビジネスの勉強になる部分もあるので、政治、経済に興味のある方はぜひご覧ください。
『メディア王~華麗なる一族~ シーズン4』
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TEXT by Myson
シーズン3
REVIEW
シーズン2のラストで、再びケンダル(ジェレミー・ストロング)が大波乱を起こし、びっくりした方も多いのではないでしょうか。シーズン2のラストで交わされたローガン(ブライアン・コックス)とケンダルの会話を思い出すと、ケンダルの大胆な決断には意味深さを感じます。ローガンにとっては痛手でしょうが、ある意味ローガンがケンダルにはできないと言い放ったことをケンダルが実行したとも受け取れます。
そして、物語が進み、背景が見えてくると、「あれ?いつから企んでたの?」と改めて気になる部分が出てきます。そうして、キャラクターの裏の顔がまだまだ隠れていることがうかがえます。
シーズン3では、シヴ(セーラ・スヌーク)とローマン(キーラン・カルキン)の存在感がますます出てきます。ただ、シヴは前シーズンで暴走したことで立場が不安定になり、ローガンの気まぐれも相変わらずで、後継者はなかなか決まりません。そんななか、ローマンは手柄を立てつつ失態も晒すので、後継者レースは振り出しに戻った感が出てきます。
奇妙な同盟で結ばれたトム(マシュー・マクファディン)とグレッグ(ニコラス・ブラウン)は、相変わらず風見鶏のような立場ながら、ふとした行動が展開に影響を及ぼします。ロイ家のヒエラルキーで下層にいる2人が今後どんな立場になるのかにも要注目です。さらに、シヴとトムの関係もどんどんややこしくなっていきますよ。
ウェイスター・ロイコ社は、大ピンチに陥っていながら、ローガンの影響力は絶大で、政界への影響を描くシーンは、現実の世界を投影しているようで生々しいです。会社が存続をかけてあらゆる策を講じるなか、今シーズンでは、エイドリアン・ブロディやアレクサンダー・スカルスガルドが演じる新たなキーパーソンも登場するのでお楽しみに。また、きょうだいの関係も変わってきて、これまでとは異なるパワーバランスで再び大波乱が起きるので乞うご期待!
『メディア王~華麗なる一族~ シーズン3』
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TEXT by Myson
シーズン2
REVIEW
シーズン1では、ローガンの子ども達の中でケンダル(ジェレミー・ストロング)が波乱を起こしたものの、結末でローガン(ブライアン・コックス)の圧倒的な支配力が示されました。今シーズンでも、ケンダルはキーパーソンでありつつ、末っ子のシヴ(セーラ・スヌーク)が存在感を表します。
シーズン1で4人きょうだいそれぞれのキャラクターがある程度見えました。全員クセはあるものの、頭がキレて、対外的に一番まともに見えるのはシヴです。ローガンはそんなシヴに期待を寄せていて、いよいよ彼女にもチャンスがやってきます。ただ、シヴはこれまで会社に関わっておらず経験もありません。一方で野心は兄達に負けないくらいあります。そうしたシヴの背景が功を奏するのかどうかが今シーズンの見どころの一つとなっています。
一方、ローマン(キーラン・カルキン)はある人物と奇妙な関係を築いていきます。前シーズンではおちゃらけキャラの面が際立っていたものの、今シーズンでは彼の強いコンプレックスが見えてきます。そして、彼なりの葛藤と優しさも描かれていて、次シーズンではローマンがキーパーソンとなりそうな予感を漂わせています。
前シーズンの最後でウェイスター・ロイコ社は、一旦危機を乗り越えられたかと思いきや、次は長年隠していたスキャンダルが発覚し、これまでにない窮地に立たされます。ここで前シーズンでグレッグ(ニコラス・ブラウン)が取った行動が大きな影響力を持ってきます。グレッグにとってチャンスなのかピンチなのかという点も要チェックです。
また今シーズンではある企業の買収の行方が大きな見せ場となっています。その展開において、ホリー・ハンターが演じるキャラクターがロイ家の運命に大きく関わってきます。さらに、長男コナーはとんでもない計画を思いつき、ケンダルもさらなる問題を引き起こします。なので、今シーズンも存分にハラハラドキドキを楽しめますよ。シーズン1の結末の衝撃を超える展開にご期待ください。
『メディア王~華麗なる一族~ シーズン2』
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TEXT by Myson
シーズン1
REVIEW
メディア王として知られるルパート・マードックをモデルにしたとされる本作は、ファミリービジネスに翻弄される一家を主人公にした群像劇です。ルパート・マードックは、1931年3月11日生まれで、ちょうどこのレビューを書いている頃、2024年6月3日に、93歳で5回目の結婚をしたというニュースが報じられました。また、2023年9月21日(米国時間)に、フォックスコーポレーションとニューズ・コーポレーションの会長を退任することを発表し、現実世界でもまだまだ“帝国”の行方は注目を集めているようです。
シーズン1の最初の数話は、メディア王として君臨するローガン・ロイ(ブライアン・コックス)と子ども達、そして、彼等の周りにいる人達の力関係が描かれています。ローガンには3人の息子と娘が1人いて、子ども達は皆ローガンに評価されたいと思っていると同時に彼を恐れています。シーズン1では、きょうだいの中でもケンダル(ジェレミー・ストロング)がファミリービジネスに波紋を広げ、跡継ぎ争いと企業買収をテーマにシリアスなテンションが続きます。
家族とはいえども、お互いにいつも腹の探り合いをしている状況が怖すぎるのと、超富裕層の毒気を凝縮して前面に押し出したキャラクターが勢揃いしている点で、正直なところ最初は感情移入ができそうなキャラクターが見つからないかもしれません。ただ、だんだん一人ひとりの性格や背景が見えてくると、共感といおうか同情が生まれてくるはずです。
そして、何といってもキャスト達の名演が見ものです。まず、貫禄が抜群で、子ども達や部下達に容赦ないローガンをブライアン・コックスが見事に演じています。ジェレミー・ストロングは、野心が旺盛ながら、父ローガンとの関係で公私ともに一番追い込まれていくケンダルの複雑な心境をリアルに表現しています。キーラン・カルキンは、つかみどころのない変わり者ローマンの役にピッタリです。ニコラス・ブラウンは、周囲に舐められているように見えて侮れないところがあるダークホース的キャラクターのグレッグを好演しています。そして、マシュー・マクファディンが演じるトムは、出世するためにローガンに取り入ろうと必死のまさに”上辺だけ”の男として、ドラマを盛り上げます。さらに、ジェームズ・クロムウェルが演じるユアンはここぞという場面で登場し、読めない展開をもたらします。
スケールの大きいビジネスのウラ側を覗くおもしろさと同時に、富と名声があるがゆえの歪な家族の物語を描いたドラマとなっています。シーズン2はこれ以上の波乱が待ち受けていると思うと期待が膨らみます。
『メディア王~華麗なる一族~ シーズン1』
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TEXT by Myson
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情報は2024年6月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。
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