パキスタンの血を引く主人公のカマラは、アベンジャーズが大好きでキャプテン・マーベルに憧れています。でも家族や教師は、いつもすぐに妄想にふける彼女を心配していて、ヒーローに憧れていることにも懐疑的です。そんななか、カマラはある出来事がきっかけで、祖先から受け継がれる特殊な能力に目覚めます。カマラは始めは喜んでいたものの、この能力のために重い運命を背負うことになると知り、葛藤します。
本作にはパキスタン文化を感じさせるシーンが多く、宗教的背景も色濃く描かれている点で、マーベル作品の中でもかなりユニークです。また、物語の中で描かれる大きな対立は、インドとパキスタンの対立の比喩であることは一目瞭然で、観ようによってはかなり宗教的、政治的な作品といえます。ただ、宗教的、政治的テーマで描かれていても、高校生のカマラを主人公とし、ティーンの目線で物語を展開させている点で小難しい印象はなく、とても観やすくなっています。また、カマラや彼女の家族、友達は皆優しく穏やかで、完全な悪役が出てこない点で安心して観られます。この点は、前述したインドとパキスタンの対立の比喩として観た時に、公平な視点で描かれているということにも繋がるでしょう。同時に、宗教的な背景も相まって、カマラの周囲では女性の生き方に固定観念のある文化が根強く残っている点も印象的です。カマラや親友のナキアがその固定観念を打ち破る姿にも共感できます。
シーズン1なのでまだまだ序章という内容ですが、ラストに映画『マーベルズ』に繋がるシーンが出てきます。『マーベルズ』の予告編を観たところ、このシーンはそのまま『マーベルズ』のシーンとしても出てくるようです。そして、もちろん『マーベルズ』にカマラは登場します。『マーベルズ』を観る前に、『ワンダヴィジョン』と共に本作も観ておいてください。
『ミズ・マーベル』
2022年6月8日よりディズニープラスにて配信中
公式サイト
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TEXT by Myson