REVIEW

ジ・オファー/ゴッドファーザーに賭けた男【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
海外ドラマ『ジ・オファー/ゴッドファーザーに賭けた男』マイルズ・テラー/ジュノー・テンプル

REVIEW

とてもとてもおもしろかった!一気に観終えました。何シーズンもあるドラマではなく、10話完結なので観やすいです。本作は、映画史に名を残す『ゴッドファーザー』公開50周年を記念して制作されたドラマです。1970年代のハリウッドとニューヨークを舞台に、1作目の『ゴッドファーザー』完成がどれだけ奇跡的なことだったか、その制作の裏側にあった驚くべき実話をベースに描いています。このドラマは、『ゴッドファーザー』のプロデューサーを務め、本作では主人公として登場するアルバート・S・ラディ本人が、原案と製作総指揮を務めています。

海外ドラマ『ジ・オファー/ゴッドファーザーに賭けた男』ダン・フォグラー

ネタバレになるので具体的には書きませんが、本当に「こんなことってあるの!?」という出来事ばかりが続きます。それは、映画宣伝でよくいわれるような「映画化困難」のレベルとは雲泥の差で、社会全体を巻き込むような大きな事態であり、映画に関わる人物が本当の意味で命を賭けて作った、死ぬかもしれない覚悟で作ったレベルの困難さです。私達は既に映画ができていることがわかっていて観るから良いものの、それでもどうやって映画が完成したのか疑う展開が何度も出てきます。だから、想像を絶する覚悟で映画完成を諦めなかったスタッフ達(この物語の主人公達)の姿を観ていると心を動かされずにはいられません。

海外ドラマ『ジ・オファー/ゴッドファーザーに賭けた男』ダン・フォグラー

そして、キャラクターが皆魅力的に描かれています。まず、マイルズ・テラーが演じるアルバート・S・ラディが何ともカッコ良い!とても誠実であり大胆で、映画制作への情熱も比類なく、知的で創造的な人物です。彼が何度も挫折しそうになりながら踏ん張る姿に何度も勇気とパワーをもらえます。また、ベティ・マッカート(ジュノー・テンプル)は、女性が今よりもっと仕事で地位を築くのが難しい時代に知恵と行動力と交渉力でラディを支え、自分の未来も切り拓いていく姿にも惚れ惚れします。また、物語の真髄や俳優の底力を見抜くフランシス・フォード・コッポラ(ダン・フォグラー)の深い洞察力にも驚かされます。ジョヴァンニ・リビシが演じるジョー・コロンボもすごく良い味を出していて、好きにならずにいられません。ボビー・カナヴェイルの息子ジェイク・カナヴェイルもシーザー役として登場し、意外なところで要となるキャラクターを好演しています。あとは何といっても、マシュー・グードが演じるロバート・エヴァンスの人間臭さと映画への愛、破天荒さに惹かれます。

海外ドラマ『ジ・オファー/ゴッドファーザーに賭けた男』ジョヴァンニ・リビシ

『ゴッドファーザー』が作られた当時、パラマウントやワーナーなどが作っていた他の映画の話題も出てくるし、当時のスター俳優や監督の名前も飛び交います。今では大スターとなっている俳優達が駆け出しの頃のストーリーでもあるので、売れる前にどんな評価をされていたかといったことや、『ゴッドファーザー』が俳優達にとってもどれだけ運命的な作品となったかがわかります。

海外ドラマ『ジ・オファー/ゴッドファーザーに賭けた男』

最後に皆さんに合わせて観ていただき作品もご紹介します。もちろん、まず”ゴッドファーザー”シリーズですね。そして、ロバート・エヴァンスのドキュメンタリー『くたばれ!ハリウッド』も必見です。私は2022年に公開された『くたばれ!ハリウッド』を観て、ロバート・エヴァンスという人物がとても好きになり、DVDが出たら即効買いました。『くたばれ!ハリウッド』では、『ゴッドファーザー』を含め、ロバート・エヴァンスが関わりをもった映画について語られていて(ナレーションはロバート・エヴァンス本人)、事前に観ておくと『ジ・オファー/ゴッドファーザーに賭けた男』で出てくるエピソードと当時の出来事が一気に結びつくので、が何倍も楽しめます。他にも観ておいて欲しい作品は下記「関連作」に載せておきますが、言い換えると『くたばれ!ハリウッド』に出てくる映画を観ておくと良いともいえます。

海外ドラマ『ジ・オファー/ゴッドファーザーに賭けた男』マシュー・グード

とにかく、『ジ・オファー/ゴッドファーザーに賭けた男』は映画好きには本当にたまらないドラマととなっています。海外ドラマファンの方はもちろん、多くの方にオススメです。

海外ドラマ『ジ・オファー/ゴッドファーザーに賭けた男』マイルズ・テラー/マシュー・グード/ダン・フォグラー/バーン・ゴーマン/コリン・ハンクス/ジュノー・テンプル

『ジ・オファー/ゴッドファーザーに賭けた男』
2023年2月8日よりDVDレンタル中&DVD-BOX販売中
Amazon Prime Videoで観る
U-NEXTで観る
NBCユニバーサル・エンターテイメント
公式サイト

© 2023 Paramount Television Studios, a division of Paramount Pictures Corporation. All Rights Reserved.

TEXT by Myson


関連作

『ゴッドファーザー』

Amazon Prime Videoで観る U-NEXTで観る Huluで観る

『くたばれ!ハリウッド』

DVDで観る

『ローズマリーの赤ちゃん』

Amazon Prime Videoで観る U-NEXTで観る

『ある愛の詩』

Amazon Prime Videoで観る 

『チャイナタウン』

Amazon Prime Videoで観る U-NEXTで観る Huluで観る

『ゲッタウェイ』

ブルーレイで観る

上記の情報は2023年8月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『BETTER MAN/ベター・マン』ジョノ・デイヴィス 社会的成功が本当の幸せをもたらすとはいえない事例【映画でSEL】

昨今、ウェルビーイングという概念が広まりつつあり、社会的な成功は必ずしも幸福をもたらすとは限らないという見方も出てきました。その背景を、「自己への気づき」(SELで向上させようとするスキルの一つ)に紐づけて考えてみます。

映画『片思い世界』広瀬すず/杉咲花/清原果耶 片思い世界【レビュー】

広瀬すず、杉咲花、清原果耶がトリプル主演を務める本作は、『花束みたいな恋をした』の脚本を手掛けた坂元裕二と、土井裕泰監督が再タッグを組んだ…

映画『神は銃弾』マイカ・モンロー マイカ・モンロー【ギャラリー/出演作一覧】

1993年5月29日生まれ。アメリカ出身。

映画『ファレル・ウィリアムス:ピース・バイ・ピース』 ファレル・ウィリアムス:ピース・バイ・ピース【レビュー】

“ハッピー”や“ゲット・ラッキー”をはじめとする大ヒット曲を多数生み出し、他のビッグ・アーティストへの楽曲提供やプロデュースでも並外れた偉業を成してきたファレル・ウィリアムスの人生が初めて映画化…

映画『ANORA アノーラ』ユーリー・ボリソフ ユーリー・ボリソフ【ギャラリー/出演作一覧】

1992年12月8日生まれ。ロシア出身。

映画『片思い世界』公開直前イベント、広瀬すず/杉咲花/清原果耶/土井裕泰監督 存在するということに対しての肯定を、ここまで実験的に描いた物語もなかなかない『片思い世界』公開イベントに広瀬すず、杉咲花、清原果耶が揃って登壇

劇場公開を目前に控え、本作でトリプル主演を務めた、広瀬すず、杉咲花、清原果耶と、土井裕泰監督が舞台挨拶に登壇しました。

映画『おいしくて泣くとき』長尾謙杜/當真あみ おいしくて泣くとき【レビュー】

タイトルを聞いただけで泣いちゃいそうな作品だと予想できるので、逆に泣かないぞと…

劇場版『トリリオンゲーム』今田美桜 今田美桜【ギャラリー/出演作一覧】

1997年3月5日生まれ。福岡県出身。

中国ドラマ『柳舟恋記(りゅうしゅうれんき)〜皇子とかりそめの花嫁〜』QUOカード 中国ドラマ『柳舟恋記(りゅうしゅうれんき)〜皇子とかりそめの花嫁〜』オリジナルQUOカード(500円分) 2名様プレゼント

中国ドラマ『このロマンスはフィクションだから』オリジナルQUOカード(500円分) 3名様プレゼント

映画『ベイビーガール』ニコール・キッドマン/ハリス・ディキンソン ベイビーガール【レビュー】

シンプルに娯楽として楽しむ方、真面目に観る方、両方…

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『キングダム 大将軍の帰還』山﨑賢人/吉沢亮/橋本環奈/清野菜名/吉川晃司/小栗旬/大沢たかお 映画好きが選んだ2024邦画ベスト

正式部員の皆さんに2024年の邦画ベストを選んでいただきました。2024年の邦画ベストはどの作品になったのでしょうか?

映画『セトウツミ』池松壮亮/菅田将暉 映画好きが推すとっておきの映画を紹介【名作掘り起こし隊】Vol.4

このコーナーでは、映画業界を応援する活動として、埋もれた名作に再び光を当てるべく、正式部員の皆さんから寄せられた名作をご紹介していきます。

映画『オッペンハイマー』キリアン・マーフィー 映画好きが選んだ2024洋画ベスト

正式部員の皆さんに2024年の洋画ベストを選んでいただきました。2024年の洋画ベストに輝いたのはどの作品でしょうか!?

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『BETTER MAN/ベター・マン』ジョノ・デイヴィス
  2. 【映画でSEL】森林の中で穏やかな表情で立つ女性
  3. 映画『風たちの学校』

REVIEW

  1. 映画『片思い世界』広瀬すず/杉咲花/清原果耶
  2. 映画『ファレル・ウィリアムス:ピース・バイ・ピース』
  3. 映画『おいしくて泣くとき』長尾謙杜/當真あみ
  4. 映画『ベイビーガール』ニコール・キッドマン/ハリス・ディキンソン
  5. 映画『エミリア・ペレス』ゾーイ・サルダナ/カルラ・ソフィア・ガスコン

PRESENT

  1. 中国ドラマ『柳舟恋記(りゅうしゅうれんき)〜皇子とかりそめの花嫁〜』QUOカード
  2. 中国ドラマ『北月と紫晴〜流光に舞う偽りの王妃〜』オリジナルQUOカード
  3. 映画『ガール・ウィズ・ニードル』ヴィク・カーメン
PAGE TOP