REVIEW

バビロン【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『バビロン』ブラッド・ピット/ディエゴ・カルバ

俳優も、監督も、スタッフも映画作りに命懸けで、人生を賭けているというのが伝わってくるエネルギッシュな作品。映画制作の現場で働くスタッフや俳優はもちろん、映画ライターのように周辺の仕事をしている人物まで、映画産業のリアルな姿を映し出しています。どんなに過酷で、どんなにコケにされてもなお、映画の世界で生きたい人達の姿を観て、同業者ならまるで自分を観ているような感覚になるはず。私もその1人です。もしかしたら、デイミアン・チャゼル監督をはじめ、この作品に関わる方は皆「なぜ、自分はこの仕事をしているのか。どんなに大変な思いをしてもやめられないのか」自分に問いかけながら作ったのかもしれません。その理由は皆それぞれだけれど、ここにいたくて、ここにしかいられない。どうしても手放せない映画愛と、その深い映画愛からくるジレンマが見事に表現されています。
映画界でカオスは日常。煌びやかだけど理不尽で獰猛な世界。だからおもしろくもあり、辛くもあります。明日どうなっているかもわかりません。でも、そんなサバイバルをしているからこそ、生きている心地は人一倍あるのかもしれません。ブラックユーモア満載で、『ラ・ラ・ランド』に通じる部分もあるといえるし、真逆から描いているともいえるストーリーです。また、デイミアン・チャゼル監督作の中では『セッション』で描かれたような情熱と狂気に通じるものを感じます。
映画界自体が今生き残りをかけて戦っているんだという叫びにも受け取れて、映画との大恋愛を描いているようであり、映画界への憎しみと愛を叫んでいるようにも受け取れます。
最後のさまざまな作品がズラッと映るシーンは、「だから映画が好きなんだ!」という気持ちが煽られて感無量。映画好きの心に共感の嵐を巻き起こすはずです。

デート向き映画判定
映画『バビロン』マーゴット・ロビー/ディエゴ・カルバ

セレブ感漂うキービジュアルですが、のっけから「えー!」となるシーンがあったり、ぶっちゃけ下品なシーンもいくつかあります。デイミアン・チャゼル監督の代表作『ラ・ラ・ランド』のイメージでいるとびっくりしてしまうので、その辺りを加味して相手を誘うか検討してください。映画好きカップルにはめちゃくちゃオススメです!

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『バビロン』マーゴット・ロビー

大人向けの内容ですが、強烈なシーンのいくつかはキッズが盛り上がりそうです。とはいえ、やはりさまざまな経験を経て、大人になってから観たほうが、本作を深いところで感情移入しながら観られると思います。映画にハマり出したティーンの皆さんは、共感具合によって、もっと映画を好きになるのではないでしょうか。

映画『バビロン』ブラッド・ピット/マーゴット・ロビー/ディエゴ・カルバ/ジーン・スマート/ジョヴァン・アデポ/トビー・マグワイア

『バビロン』
2023年2月10日より全国公開
R-15+
東和ピクチャーズ
公式サイト

© 2023 Paramount Pictures. All Rights Reserved.

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』萩原利久/河合優実 今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は【レビュー】

いつもの通り、前情報を極力入れずに本編を観て、特に独特なセリフと掛け合いが…

映画『52ヘルツのクジラたち』小野花梨 小野花梨【ギャラリー/出演作一覧】

1998年7月6日生まれ。東京都出身。

映画『パリピ孔明 THE MOVIE』向井理 パリピ孔明 THE MOVIE【レビュー】

REVIEW発行部数240万部を超える同名コミックを原作とし、最終回放送時はSNSトレンド…

Netflixシリーズ『アドレセンス』オーウェン・クーパー アドレセンス【レビュー】

物語はまだ13歳の少年ジェイミー・ミラー(オーウェン・クーパー)が殺人容疑で…

映画『ベテラン 凶悪犯罪捜査班』チョン・へイン チョン・へイン【ギャラリー/出演作一覧】

1988年4月1日生まれ。韓国出身。

映画『私の親愛なるフーバオ』フーバオ 私の親愛なるフーバオ【レビュー】

フーバオは、2016年に韓国にやって来たアイバオとローバオの自然繁殖により…

映画『バーラ先生の特別授業』ダヌシュ バーラ先生の特別授業【レビュー】

教育がビジネスの道具にされ、貧富の差がますます広がる1990年代のインドを舞台に、1人の教師が生徒達の未来のために…

映画『エミリア・ペレス』セレーナ・ゴメス セレーナ・ゴメス【ギャラリー/出演作一覧】

1992年7月22日生まれ。アメリカ出身。

映画『シンシン/SING SING』コールマン・ドミンゴ シンシン/SING SING【レビュー】

エンタテインメントの力は、観る側だけではなく作り手にも発揮される…

映画『アマチュア』来日ジャパンプレミア:ラミ・マレック、レイチェル・ブロズナハン、ジェームズ・ホーズ監督/三宅健(スペシャルゲスト) オスカー俳優ラミ・マレックの役作りとは?『アマチュア』来日ジャパンプレミア

『アマチュア』の日本公開を目前に控え、主人公チャーリー・ヘラーを演じたラミ・マレックと、妻のサラを演じたレイチェル・ブロズナハン、ジェームズ・ホーズ監督が来日…

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『キングダム 大将軍の帰還』山﨑賢人/吉沢亮/橋本環奈/清野菜名/吉川晃司/小栗旬/大沢たかお 映画好きが選んだ2024邦画ベスト

正式部員の皆さんに2024年の邦画ベストを選んでいただきました。2024年の邦画ベストはどの作品になったのでしょうか?

映画『セトウツミ』池松壮亮/菅田将暉 映画好きが推すとっておきの映画を紹介【名作掘り起こし隊】Vol.4

このコーナーでは、映画業界を応援する活動として、埋もれた名作に再び光を当てるべく、正式部員の皆さんから寄せられた名作をご紹介していきます。

映画『オッペンハイマー』キリアン・マーフィー 映画好きが選んだ2024洋画ベスト

正式部員の皆さんに2024年の洋画ベストを選んでいただきました。2024年の洋画ベストに輝いたのはどの作品でしょうか!?

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『BETTER MAN/ベター・マン』ジョノ・デイヴィス
  2. 【映画でSEL】森林の中で穏やかな表情で立つ女性
  3. 映画『風たちの学校』

REVIEW

  1. 映画『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』萩原利久/河合優実
  2. 映画『パリピ孔明 THE MOVIE』向井理
  3. Netflixシリーズ『アドレセンス』オーウェン・クーパー
  4. 映画『私の親愛なるフーバオ』フーバオ
  5. 映画『バーラ先生の特別授業』ダヌシュ

PRESENT

  1. DMM TVオリジナルドラマ『ドンケツ』伊藤英明
  2. 映画『金子差入店』丸山隆平
  3. 中国ドラマ『柳舟恋記(りゅうしゅうれんき)〜皇子とかりそめの花嫁〜』QUOカード
PAGE TOP