REVIEW

バーラ先生の特別授業【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『バーラ先生の特別授業』ダヌシュ

REVIEW

教育がビジネスの道具にされ、貧富の差がますます広がる1990年代のインドを舞台に、1人の教師が生徒達の未来のために立ち上がる物語です。本作はフィクションでありながら、「テランガーナ州の僻地にある公立校で教育の状況を劇的に改善し、インド政府より教員向けの国家賞を授与されたランガイヤ・カデルラ氏の半生にヒントを得て作られた」そうです(映画公式サイト)。

映画『バーラ先生の特別授業』ダヌシュ

1990年代の経済自由化と1993年の教育制度の改革によって、教育はビジネスになると目を付けた人間が、高額の授業料がかかる私立の教育機関や予備校を作ります。富裕層は質の高い授業を求めて私立校や予備校に通い、ますます授業料は高騰。私立の教育機関は優秀な教師を高額の給料でかこい、公立校の運営が成り立たなくなります。そうして、貧困層の子ども達は学校に通えなくなり、教育格差が広まる状況に陥ります。

映画『バーラ先生の特別授業』ダヌシュ

本作では、長年続いている社会問題に皆が妥協してしまっている現状に異議を唱えるシーンが複数出てきます。バーラ先生(ダヌシュ)は、カースト制や女性差別が教育機会を阻んでいる状況に甘んじている村人達に説得力のある言葉で覚醒をもたらします。

教育の大切さを訴えるストーリーの背景に、映画文化がうまく融合されている点も本作の見どころです。レンタルビデオ店、映画館が意外な形でストーリーに絡んでくるので、映画ファンとしてはより共感できます。伏線の回収も楽しめる上に、敢えて映画的な演出もあり、娯楽性が含まれている点で観やすい作品となっています。

映画『バーラ先生の特別授業』ダヌシュ

そして、本作を観てふと浮かんだのは『御上先生』です。『御上先生』では、“The personal is political(個人的なことは政治的なこと)”という言葉がよく出てきますが、本作で描かれている状況もまさに該当します。バーラ先生の本来の目論見が最後に明かされると、巡り巡って教育が社会を変えるかもしれない一つの筋道を知ることができます。

デート向き映画判定

映画『バーラ先生の特別授業』ダヌシュ

ラブロマンスの要素もありつつ、気まずくなるようなシーンはないので、デートで観るのもありでしょう。恋する2人にまつわるシーンは、クスッと笑えたり、切なかったり、よいスパイスとなっています。同じ方向を向き、協力して苦難を乗り越える姿に、カップルとしても共感できるでしょう。

キッズ&ティーン向き映画判定

映画『バーラ先生の特別授業』ダヌシュ

皆さんは生徒達と同じ目線で観られると思います。勉強をしろといわれるとやりたくなくなる時もあるかもしれませんが、本作を観ると、勉強ができる環境のありがたさを感じられると同時に、勉強をする意味を考えるきっかけにできるでしょう。インドの映画ですが、日本を含め、どの国にも通じる内容といえます。友達と観るのも良いですし、親子で観るのも良いですよ。

映画『バーラ先生の特別授業』ダヌシュ

『バーラ先生の特別授業』
2025年4月11日より全国公開
SPACEBOX
公式サイト

ムビチケ購入はこちら
映画館での鑑賞にU-NEXTポイントが使えます!無料トライアル期間に使えるポイントも

©Fortune Four Cinemas ©Sithara Entertainments ©Srikara Studios

TEXT by Myson

本ページには一部アフィリエイト広告のリンクが含まれます。
情報は2025年4月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。

  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『バーラ先生の特別授業』ダヌシュ バーラ先生の特別授業【レビュー】

教育がビジネスの道具にされ、貧富の差がますます広がる1990年代のインドを舞台に、1人の教師が生徒達の未来のために…

映画『エミリア・ペレス』セレーナ・ゴメス セレーナ・ゴメス【ギャラリー/出演作一覧】

1992年7月22日生まれ。アメリカ出身。

映画『シンシン/SING SING』コールマン・ドミンゴ シンシン/SING SING【レビュー】

エンタテインメントの力は、観る側だけではなく作り手にも発揮される…

映画『アマチュア』来日ジャパンプレミア:ラミ・マレック、レイチェル・ブロズナハン、ジェームズ・ホーズ監督/三宅健(スペシャルゲスト) オスカー俳優ラミ・マレックの役作りとは?『アマチュア』来日ジャパンプレミア

『アマチュア』の日本公開を目前に控え、主人公チャーリー・ヘラーを演じたラミ・マレックと、妻のサラを演じたレイチェル・ブロズナハン、ジェームズ・ホーズ監督が来日…

映画『アマチュア』ラミ・マレック アマチュア【レビュー】

ラミ・マレックが主演と製作を務める本作は、ロバート・リテル著「アマチュア」(「チャーリー・ヘラーの復讐」の改題)を原作とした…

DMM TVオリジナルドラマ『ドンケツ』伊藤英明 DMM TV オリジナルドラマ『ドンケツ』キャスト登壇!完成披露試写会 5組10名様ご招待

DMM TV オリジナルドラマ『ドンケツ』キャスト登壇!完成披露試写会 5組10名様ご招待

映画『Page30』唐田えりか/林田麻里/広山詞葉/MAAKIII Page30【レビュー】

エグセクティブプロデューサーの中村正人(DREAMS COME TRUE)が堤幸彦監督にオファーし始まった本作は…

映画『花まんま』鈴木亮平/有村架純 花まんま【レビュー】

原作の朱川湊人著「花まんま」は、2005年に発表され、第133回直木賞を受賞…

映画『ナミビアの砂漠』中島歩 中島歩【ギャラリー/出演作一覧】

1988年10月7日生まれ。宮城県出身。詳しいプロフィールは→所属事務所公式サイト/『敵』…

映画『ゴーストキラー』髙石あかりさんインタビュー 『ゴーストキラー』髙石あかりさんインタビュー

飛ぶ鳥を落とす勢いで大活躍中の髙石あかりさんにインタビューをさせていただきました。『ゴーストキラー』は、“ベイビーわるきゅーれ”シリーズでタッグを組んできた、園村健介さんが監督を務め、阪元裕吾さんが脚本を担当…

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『キングダム 大将軍の帰還』山﨑賢人/吉沢亮/橋本環奈/清野菜名/吉川晃司/小栗旬/大沢たかお 映画好きが選んだ2024邦画ベスト

正式部員の皆さんに2024年の邦画ベストを選んでいただきました。2024年の邦画ベストはどの作品になったのでしょうか?

映画『セトウツミ』池松壮亮/菅田将暉 映画好きが推すとっておきの映画を紹介【名作掘り起こし隊】Vol.4

このコーナーでは、映画業界を応援する活動として、埋もれた名作に再び光を当てるべく、正式部員の皆さんから寄せられた名作をご紹介していきます。

映画『オッペンハイマー』キリアン・マーフィー 映画好きが選んだ2024洋画ベスト

正式部員の皆さんに2024年の洋画ベストを選んでいただきました。2024年の洋画ベストに輝いたのはどの作品でしょうか!?

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『BETTER MAN/ベター・マン』ジョノ・デイヴィス
  2. 【映画でSEL】森林の中で穏やかな表情で立つ女性
  3. 映画『風たちの学校』

REVIEW

  1. 映画『バーラ先生の特別授業』ダヌシュ
  2. 映画『シンシン/SING SING』コールマン・ドミンゴ
  3. 映画『アマチュア』ラミ・マレック
  4. 映画『Page30』唐田えりか/林田麻里/広山詞葉/MAAKIII
  5. 映画『花まんま』鈴木亮平/有村架純

PRESENT

  1. DMM TVオリジナルドラマ『ドンケツ』伊藤英明
  2. 映画『金子差入店』丸山隆平
  3. 中国ドラマ『柳舟恋記(りゅうしゅうれんき)〜皇子とかりそめの花嫁〜』QUOカード
PAGE TOP