本作は、フランス映画として初のアカデミー賞長編アニメーション賞にノミネートされたアニメーションの傑作で、製作20周年を目前にリバイバル上映されます。物語の主人公は、ある町で愛犬と共に暮らすおばあちゃんと、ツール・ド・フランスの出場を目指す孫のシャンピオン。シャンピオンは猛特訓の末、ついにツール・ド・フランスに出場しますが、そこでまさかの事件が起こります。続きは本編を観ていただくとして、おばあちゃんが孫のために大活躍する姿には胸を打たれますし、アニメーションだからこそ表現できるコミカルなシーンも見どころです。
また、全編を通して台詞がほとんどないのですが、個性的なキャラクター達の動きや情景、音楽などに注目することで内容は十分理解できますし、あれこれ想像しながら観られるのもポイントです。20年前の作品ですが、時代をほとんど感じませんし、逆に現代のフランスアニメーションにどんな作品があるのかも気になります。上映時間が80分と短い中に本作の世界観が凝縮されているので、ぜひ隅々まで注目してご覧ください。
フランスのアニメーションをデートで観るという響きがまずおしゃれに感じます。メインはおばあちゃんと孫の物語で、気まずくなる要素はないのでデートでも問題なく観られます。また、ほぼ台詞なしで物語が展開するので、各キャラクターをよく観察して観賞後に感想を話し合うのも楽しいと思います。
頭が柔らかく想像力豊かな皆さんが本作を観てどんな感想を持つのか気になりますが、まずは純粋に物語を楽しんで観てください。なかには、本作のパンチの利いたキャラクター設定や斬新な展開に驚く人もいるかもしれませんが、感性を刺激して欲しいと思います。
『ベルヴィル・ランデブー』
2021年7月9日より全国順次公開
チャイルド・フィルム
公式サイト
© Les Armateurs / Production Champion Vivi Film / France 3 Cinéma / RGP France / Sylvain Chomet
TEXT by Shamy