ワカンダ国王とブラックパンサーの顔を持つティ・チャラ(チャドウィック・ボーズマン)が帰らぬ人となったワカンダ国のその後を描いた本作では、ヴィヴラニウムを巡る新たな闘いが描かれています。ティ・チャラの母ラモンダ(アンジェラ・バセット)が女王として国を取り仕切るも、ブラックパンサー不在のなか、水面下でヴィヴラニウムを狙う輩が出てきます。ただ、問題はそんなに単純ではありません。ヴィヴラニウムを巡って、未知の脅威との新たな問題も勃発し、ワカンダ国は大きな危機に直面します。
ネタバレをしないためにこれ以上は書きませんが、このストーリーは仕上げるのに相当苦労したのではないかと思いました。若くして亡くなったチャドウィック・ボーズマンへの敬意と愛もすごく感じられて、“ブラックパンサー”というキャラクターをとても大事にしている姿勢がヒシヒシと伝わってきます。伝統を受け継ぎながら新しい道を切り拓いていくという価値観が、今の時代に描かれることにも大きな意味を感じます。次にブラックパンサーを引き継ぐ人物の葛藤も、現代社会が持つ鬱々としたものを比喩しているようで、ただのエンタテインメントで終わらないストーリーに共感します。
マーベル作品で最初に必ず流れるオープニング映像も特別な構成になっていて、最初から最後までウルウルポイントが詰まった作品となっています。ぜひ大きなスクリーンで目に焼き付けてください。
ロマンチックなムードになるポイントはあまりありませんが、アクションあり、エモーショナルな展開ありの超大作なので観る人を選ばない分、デートにも誘いやすいのではないでしょうか。マーベルに思い入れが強い方は、デートそっちのけで映画に没頭してしまうと思いますが、観終わってから話すことは存分にありそうです。
本作から観て、後で過去作を振り返るのもアリですが、できれば1作目の『ブラックパンサー』は観ておくと良いでしょう。登場人物が多いので、それぞれの関係性や名前をわかった上で観るほうが理解が深まると思います。上映時間が161分と長いのでキッズは集中力が続くかどうかがハードルになりそうですが、海中の世界が出てきたり、映像にインパクトがあるので、飽きずに観られそうな気もします。
『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』
2022年11月11日より全国公開
ウォルト・ディズニー・ジャパン
公式サイト
©Marvel Studios
TEXT by Myson
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