かつてハリウッド・コメディ界の頂点に君臨していた、スタン・ローレルとオリバー・ハーディによるお笑いコンビ、ローレル&ハーディの半生を描いたドラマ。スターとして注目を浴びていた1937年から一転、1953年に舞台が移ると、2人は過去の人になっていて、イギリスでホールツアーに回っても客席を埋められません。それでも2人は徐々に挽回していくのですが、本作は挽回劇というよりも、2人の友情にスポットを当てたドラマとなっています。見た目も中身も正反対の2人ですが、仲良しゆえの激しい衝突シーンは胸に響きます。相手を思うからこそ強く言ってしまったり、傷つけられるのが怖くて思ってもみないことを言って逆に相手を傷つけてしまったり、親友がいる人なら誰でも経験したことのあるやり取りに共感せずにはいられません。2人の関係が最終的にどうなるのかは映画を観て頂くとして、仕事に対するプライドと、仲間に対する思いは切っても切り離せないものだなと、しみじみさせられる作品でした。スティーヴ・クーガンとジョン・C・ライリーのコンビネーションもばっちりで、2人が漂わせるムードがとてもリアル。タイプは違ってもそれぞれに不器用なところがある点でも感情移入しやすいと思います。
カップルもいわばコンビなので、主人公2人に重ね合わせて観ることもできると思います。本作の2人は仕事上のコンビなので、恋愛の関係と丸かぶりすることがない点で、気まずくなることもないでしょう。またローレルとハーディそれぞれの夫婦関係も描かれている点で、誰かしらに感情移入できると思います。派手なドラマ展開はないので、映画を年に数回しか観ない人にはあまりオススメしませんが、映画好きと名乗っている人を誘うなら、初デートでも大丈夫でしょう。
友情物語なので、年齢を問わず共感できると思いますが、画的に派手さがないのと、淡々と日常が描かれている作品なので、小学生以下の人はちょっと退屈に思うかも知れません。でも、中学生以上で映画を観慣れている人なら、たまにはこういう作品を観てみると、感性が磨かれて、観賞の範囲が広がるきっかけになると思います。
『僕たちのラストステージ』
2019年4月19日より全国順次公開
HIGH BROW CINEMA
公式サイト
© eOne Features (S&O) Limited, British Broadcasting Corporation 2018
TEXT by Myson