冒頭からかなり危険度の高い救出劇が繰り広げられるので、一瞬にして物語の世界に引き込まれます。そして、ほっとしたのも束の間、町全体を破壊しかねない規模の大爆発事故が起こります。本作の9割は、この大火災の救助シーンで構成されており、救助隊がとにかく命懸けで人命救助に励んでいる姿に圧倒されます。監督を務めるのは“the EYE”シリーズのパン兄弟としてもお馴染みのオキサイド・パン。オキサイド・パン監督は本作でもスリリングで生々しい描写で観る者を惹きつけます。
映画公式サイトによると、タイトルにある“フラッシュオーバー”とは、「局所的な火災が短時間にして全域に拡大する現象の総称」とあります。火災の現象というと、映画好きの皆さんは映画『バックドラフト』を思い出すでしょう。この2つの現象の違いについて、“消防庁消防大学院 消防研究センター”のWEBサイトでは「フラッシュオーバーが、空気供給をうけながら火災拡大していく過程で起きるのに対し、このバックドラフトは、空気不足でいったん火災成長が抑制された後に発生するという点で大きな違いがあります」と説明しています。本作で描かれるフラッシュオーバーの意欲は想像を絶する規模で、その破壊力に驚きます。本作では、架空の都市を舞台にしていますが、本当にこんなことが起こったら…とゾッとさせられます。
とにかく最初から最後まで緊張感がMAXのまま続きます。やっと終わったと思った先にはさらなる人間ドラマが描かれていて、ラストは涙なしには観られません。そして、改めて人命救助に携わる皆様に感謝、感謝です。
迫力のある映像と人間ドラマで見応えがあり、ほどよくラブロマンスも含まれていて、デートで観るのも良いでしょう。本作の登場人物のように消防士など危険を伴うお仕事に就いている方、もしくは目指している方は、日々いろいろな不安や心配を抱えていると思います。大切な人と一緒に観て、普段いえない本音をぶつける機会にするのも良いかもしれません。あと、鑑賞中は人によって涙でグズグズになる可能性があるので、映画館にはハンカチ、ティッシュを持参しましょう。
消防隊の仕事がいかに大変であるかを知ると同時に、どれだけ大切な仕事かもわかると思います。もし人命救助の仕事に興味があれば、消防隊の中でもいろいろな役割があるとわかるので、自分はどんなことで役に立てそうかシミュレーションしてみるのも良いでしょう。かなり迫力がありリアルなので、キッズには少し怖いかもしれません。
『フラッシュオーバー 炎の消防隊』
2023年10月6日より全国公開
アルバトロス・フィルム
公式サイト
© 2023 ALL RIGHTS RESERVED BY UNIVERSE ENTERTAINMENT LIMITED /ASIA PACIFIC CHINA (BEIJING) FILM CO., LTD.
TEXT by Myson
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