人気の“パージ”シリーズも本作で5作目となります。本シリーズは、殺人を含むあらゆる犯罪が1年に1度だけ12時間合法とされたアメリカを舞台に、生き残りをかけた人々の姿が描かれています。独自解釈でざっくりいうと、限られた時間にだけ犯罪を許すことで、後は平和になるでしょうという目論見のもとパージ法は施行されたわけです。一見合理的な考え方ですが、そもそも犯罪を犯す人達がルールを守るかと考えたら、無理が出てくる気がしますよね。そんな多くの方が恐らく抱いていた思いを形にしたのが本作です。
前半は「あれ?いつもと違うぞ」という展開に胸騒ぎがして、途中から「そりゃ、そうなるわ。最初からわかってるやん!」と思いながら観るのですが、それだけで終わらないのが本作のおもしろいところ。パージ法を破る人達が出てくることで、アメリカが抱えている闇が浮き彫りにされ、昨今ニュースなどで見るようなアメリカのリアルな社会問題を比喩したストーリーが展開されます。本シリーズは映像的にも過激な怖さがありますが、本当に怖いと思えるのは、やっぱり差別主義や度を超した利己主義が蔓延することだなと実感させられます。観ず嫌いにならずにぜひ観てみてください。
心理的にも映像的にも怖いので、普段あまりスリラーやホラーといったジャンルを観ない方を誘うのには向いていません。ただ、社会風刺が効いた作品なので、そういったテーマに興味がある相手なら、簡単な内容を伝えた上で試しに誘ってみるのもアリかもしれません。極限に追い込まれた時に大事な人のために奔走するキャラクターも登場するので、自分ならどうするかを考えながら観ると、良くも悪くも相手への正直な気持ちが見えてきそうです。
ゲーム感覚で気楽に観るなら、この過激な設定に魅力を感じる方もいそうですね。入口としてはエンタテインメントを楽しむというスタンスで良いと思いますが、その奥にあるメッセージに気付ければ、映画のおもしろさがより感じられると思います。興味があれば15歳になってから観てみてください。
『フォーエバー・パージ』
2022年5月20日より全国公開
R-15+
パルコ、ユニバーサル映画
公式サイト
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TEXT by Myson