本作は、実際にモスクワのヴヌーコヴォ国際空港で2年もの間、飼い主を待ち続けた犬のパルマの実話を映画化した物語。この実話は今もロシアで多くの人に語り継がれているそうで、日本で有名な“忠犬ハチ公”の物語にも通ずる部分があり、本作は日露合作で製作されています。物語の軸は、空港に置き去りにされてしまった犬のパルマと少年コーリャがあることをきっかけに出会い、心を通わせていく部分で、パルマとコーリャが、周囲の大人達をどんどん巻き込んでいく展開も見どころとなっています。
犬のパルマが本当に利口で、立派に演技をしていることにも驚かされます。資料にある監督のコメントによると、パルマ役の犬はやはりかなりの時間をかけて探したそうです。でも、その甲斐あって、照明や飛行機の騒音にも物怖じせず、指示通りに演技のできる犬に出会えたそうです。そんな犬の名演技にもぜひご注目ください。また、感動的なシーンもありつつ、空港職員とパルマの逃走劇など笑えるシーンも多いので、どんな人でも親しみやすい作品となっています。渡辺裕之、藤田朋子、壇蜜などの日本人キャストや、フィギュアスケーターのアリーナ・ザギトワも登場しているので、それぞれどんな風に登場するのかも注目です。
犬と少年の交流にほっこりできる作品なので、デートで観るのも良いと思います。ただし、犬好き、動物好きの方だとより感情移入できる場面も多そうなので、念の為ハンカチを用意しておくことをオススメします。パルマはあることをきっかけに飼い主と離れることになりますが、将来ペットと暮らすことを考えているカップルは、ペットも家族の一員であることの意味を改めて考えるきっかけにして欲しいと思います。
皆さんも楽しんで観られる1作です。ペットを飼っているorこれから飼いたいと考えている人なら、本作の犬のパルマと少年コーリャの交流を通して、動物と信頼関係を築くことの苦労や大切さを学べると思います。また、日本にもパルマと同じように飼い主を待ち続けた“忠犬ハチ公”の物語が存在するので、これを機に調べてみるのも良いと思います。
『ハチとパルマの物語』
2021年5月28日より全国公開
東京テアトル、平成プロジェクト
公式サイト
©2021パルマと秋田犬製作委員会
TEXT by Shamy