完結編となる本作は、内容がギッシリで展開も早く、上映時間142分はあっという間です。そして、原作を読んでいない立場からすると、驚きの連続です。登場人物が多くいて各々の登場シーンが限られているにもかかわらず、それぞれにしっかり役割が振られている点でも惹きつけられます。また、それぞれのキャラクターのビジュアルインパクトも本作の魅力の一つとなっています。誰が演じているのかパッと見ではわからないキャラクターもいて、後から公式サイトなどで調べると驚きもあり、そんな答え合わせもまた楽しいです(笑)。原作ファンの評価はいかがなものかわかりませんが、原作のイメージによる先入観なしに観た私の印象では、ハマり役だなと思う俳優が複数いました。まずは、グラトニーを演じた内山信二。あの“内山くん”がここまで気味が悪いキャラクターになるのだなと感心。一方で、食いしん坊のイメージはそのまま活かされていて役にピッタリきています。次にオリヴィエ・ミラ・アームストロングを演じた栗山千明。金髪に軍人姿がキマっているだけでなく、言葉遣いも絶妙で、この世界観に違和感なくハマっています。他にもセリム・ブラッドレイを演じた寺田心、ランファンを演じた黒島結菜もすごく印象に残りました。
あと驚いたのは、山田涼介の振り切った演技です。美少年、山田涼介がここまでやるんだなと思えるシーンがクライマックスに出てきます。“美”だけでなく“醜”も表現していて、これはある意味、山田涼介の新境地といえるのではないでしょうか。完結編という意味でも見応えがありますが、ぜひ、キャストの奮闘ぶりにも注目してご覧ください。
人気コミックの映画化で、キャストも豪華なので、デートに誘い易い要素はたくさんあります。気味が悪いシーンに極端に拒絶反応を示す人でない限りは、デートに誘っても問題ないと思います。爽やかでロマンチックなシーンも出てくるので、友達以上恋人未満の2人は映画の勢いを借りて次のステップに進展するのもアリかもしれません。
今作では激しい戦いが繰り広げられ、錬金術のオンパレードが観られます。強者同士が戦うシーンは観ていて迫力があり、それぞれのキャラクターが錬金術を使う姿もカッコ良いので、キッズやティーンの皆さんも楽しめるでしょう。ただ、上映時間が142分と長い点だけ気になるところ。でも展開が早いので、小学校高学年以上なら耐えられるのではと思います。
『鋼の錬金術師 完結編 最後の錬成』
2022年6月24日より全国公開
ワーナー・ブラザース映画
公式サイト
©2022 荒川弘/SQUARE ENIX ©2022 映画「鋼の錬金術師2&3」製作委員会
TEXT by Myson