REVIEW
原作の朱川湊人著「花まんま」は、2005年に発表され、第133回直木賞を受賞しています。前田哲監督は原作に出会った当時から映画化を望み、2019年に遂に企画が動きだし、2022年に脚本が完成したそうです。原作はきょうだいの子ども時代で終わっているものの、映画化にあたっては、2人が大人になってからのストーリーが中心となっています(映画公式資料)。

大阪の下町に暮らす、兄の俊樹(鈴木亮平)と妹のフミ子(有村架純)は、早くに両親を亡くし、2人きりで生きてきました。俊樹は小さい頃から両親に妹を守るように言われきたこともあり、フミ子を大切に育ててきました。そして、いよいよフミ子が結婚することになったものの、フミ子の不可解な行動を目にします。

『花まんま』というタイトルからして、明るく温かいイメージはあるものの、謎が出てくる展開では真相がわかるまでスリルも味わえます。“花まんま”とは何かというのも気になりつつ観ていくなかで、真相がわかった時には胸が熱くなります。

さまざまな伏線が敷かれている展開も見ものです。それほど重視していなかったような要素が後ですごく活きてきて、そうした展開の要領をつかめてくると、次の展開を予想して当てる楽しさも出てきます。

関西が舞台となっていて、関西のノリや文化も楽しめます。鈴木亮平と有村架純も兵庫県出身、他の出演者も関西圏出身者が多く、関西弁ネイティブによる掛け合いが自然です。お好み焼き屋のシーンが豊富にあるので、関西人としてはお好み焼きの切り方に目がいくはず(私は大阪出身者です)。確認したところ、ピザ切りではなく、ちゃんと格子切りされていました(笑)。

原作を読まれた方は別として、本作はなるべく前情報を入れずに観るほうが驚きも伴って観られると思います。そして、きょうだい愛が強いからこそ、複雑で切なく温かいストーリーとなっており、自分が周囲に助けられて生きていることにも気づかされます。孤軍奮闘している状況で疲れている方には特に観て欲しい1作です。
デート向き映画判定

フミ子と婚約者の中沢太郎(鈴鹿央士)の関係はお手本にできるところがあります。また、ラブストーリーとして気まずい展開はないので安心して観られます。大切な人とその家族の物語なので、本作鑑賞を機にお互いの家族の話をするのも良いですね。
キッズ&ティーン向き映画判定

原作は子どもの頃の俊樹とフミ子の物語ということもあり、映画化された本作でも子ども時代のシーンが豊富にあります。幼いきょうだいが助け合う姿を観て、皆さんも何かしら刺激を受けることがあるかもしれません。きょうだい愛、親子愛がテーマとなっているので、家族で観ると絆が深まりそうです。

『花まんま』
2025年4月25日より全国公開
東映
公式サイト
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©2025「花まんま」製作委員会
TEXT by Myson
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「花まんま」朱川湊人 著/文藝春秋
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情報は2025年4月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。

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