本作は、沢木耕太郎による小説「春に散る」を『64-ロクヨン-』『ラーゲリより愛を込めて』の瀬々敬久が監督を務め映画化した作品です。主人公は、元ボクサーの広岡仁一(佐藤浩市)と、不公平な判定負けで心が折れていた若きボクサーの黒木翔吾(横浜流星)です。2人はあることをきっかけに出会い、翔吾は仁一にボクシングを教えて欲しいと懇願します。最初は断っていた仁一は、翔吾の熱い想いに次第に心を動かされ、ボクシングを教えることを決意します。
本作には主演の佐藤浩市と横浜流星のほか、橋本環奈、坂東龍汰、片岡鶴太郎、哀川翔、窪田正孝、山口智子ら豪華キャストが出演しています。それぞれが演じるキャラクターが主人公達の運命とどう関わっていくのか注目です。そして、ボクサー役を演じた横浜流星、窪田正孝、坂東龍汰の肉体の仕上がり具合がとにかくすごい!試合シーンで、スローに映る時の筋肉の盛り上がり方には思わず目を奪われます(笑)。横浜流星は、本作を機にボクシングのプロテストを受け、見事合格しており、それくらい本作とボクシングに向き合ったことが伺えます。試合シーンは本物の試合を観戦しているのかと思えるくらい迫力があるので、ぜひ応援しながらご覧ください。
そして、本作の人間ドラマも見逃せません。仁一と翔吾のやり取りは師弟であり、父と息子のような関係にも見えます。2人にはそれぞれ信念があるので、時にはぶつかることもあります。そんな2人の姿を通して、人との関わりや絆の大切さも感じます。そういった点では、ボクシング好きかどうかに関係なく、どんな人でも共感できる部分があるのではないでしょうか。仁一と翔吾が一度諦めた夢をもう一度追いかけていく姿からは勇気をもらえますし、同じように何かに挫折して立ち止まっている方なら背中を押してもらえる作品だと思います。
恋愛要素はほぼないので、ロマンチックなデートには向きません。もし相手がボクシングやスポーツ好きであれば、スポーツ観戦のような感覚で楽しめると思います。特に試合シーンはハラハラするので、ジェットコースター効果も期待できます。もし本作を気に入ったら、次回は他のボクシング映画を観たり、本物の試合を観に行くのもアリです。
皆さんの場合は、各人物の想いに注目しながら観ると、信念を持つことの大切さや、人同士の絆の深さを感じると思いますよ。また、子ども向けのボクシングジムの様子が映る場面もあるので、皆さんもボクシングをやりたくなると思います。主人公達のようにいきなり世界チャンピオンを目指すとなると少しハードルが上がりそうなので、まずはスポーツとして一度チャレンジしてみてはいかがでしょうか。
『春に散る』
2023年8月25日より全国公開
ギャガ
公式サイト
©2023 映画『春に散る』製作委員会
TEXT by Shamy
本ページの情報は2023年8月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。