千葉県船橋市立船橋高等学校に代々受け継がれている応援曲“市船soul“を作曲した青年と、彼を取り巻く人々の実話が映画化された本作。前半は高校生の大義(神尾楓珠)と仲間達が吹奏楽に打ち込む様子が描かれており、後半では大義の体に異変が生じ、展開が変わっていきます。大義達が、吹奏楽やよさこいに取り組む姿はまさに青春を象徴していて、大人にとっては懐かしい気持ちになったり、若かりし頃の純粋な気持ちを思い出させてくれます。また、大義が音楽と向き合う姿や仲間達の交流はもちろん、吹奏楽部の顧問の高橋先生(佐藤浩市)とのやり取りも見逃せません。高橋先生は生徒達ととても良い距離感で付き合い、ここぞという時に的確なアドバイスをするので、大義が尊敬するのも納得できます。高橋先生の言葉はどんな人にも刺さる名言だらけなので、ぜひ注目してみてください。
大義を演じた神尾楓珠をはじめ、佐藤浩市、尾野真千子、福本莉子など、脇を固めるキャストもとても豪華で、それぞれ印象に残る演技を披露しています。神尾楓珠は、トロンボーンを吹いたり、大旗を持ち上げたりと、いつも以上にカッコ良いシーンが多かったように感じます。後半の難しいシーンとのコントラストも効いていて、本当に全力で大義役に臨んでいることが伺えます。
日々いろいろなことに追われながら過ごしていると、なかなか日常の大切さを感じることができませんが、本作を観ることで毎日のありがたみを感じられ、日常の過ごし方を見直す良いきっかけになると思います。
恋愛中心の物語ではありませんが、デートでも観て欲しい作品です。大義と夏月(福本莉子)は大きな壁にぶつかりますが、2人がしっかりと向き合い、支え合う姿には胸を打たれます。カップルとしてとても理想的な関係を築いているので、ぜひ彼らのようなカップルを目指してみてください。
136分の上映時間がキッズに耐えられるかわかりませんが、内容としては皆さんにもオススメです。大義の高校生から20歳までの姿が映し出されているので、ティーンは等身大で観られるでしょう。大義達のように何かに一生懸命になっている人はもちろん、今は一生懸命になれるものが見つかっていなかったとしても、一度しかない青春を存分に楽しむことが大切だと気づかせてくれる作品です。
『20歳のソウル』
2022年5月27日より全国公開
日活
公式サイト
© 2022「20歳のソウル」製作委員会
TEXT by Shamy