タイトルは『初恋』ですが、三池崇史監督作品なので普通の“初々しいラブストーリー”とはいきません(笑)。でも、これを初恋という概念で捉えたところがユニークで、登場するのはほとんど悪人ですが、人間臭いところが魅力的で、そんな彼らの仕草にちらっと見える愛が独特な表現で描かれています。それぞれの企みがズレていく展開に引き込まれ、スピード感もあるので、観ている側もエネルギー全開にさせられるはず。やられたら徹底的にやり返す豪快さも映画的で、三池節が炸裂しています。キャラクターも一人ひとりが立っていて、豪華キャストも見どころ。ラブストーリーが苦手な人でも楽しめる作品です。
痛そうなシーンは痛そうだし、バイオレンスはしっかり描かれているので、ジャンル的に苦手な人は誘うのを避けたほうが良さそうですが、男性でも楽しめるラブストーリーで、アクションも満載なので、意外と対応する層は広いと思います。恋愛的に気まずい要素はなく、そういった意味では“初恋”らしい程度なので、バイオレンスさえ大丈夫なら、初デートでもOKでしょう。
ティーンの皆さんが観慣れているラブストーリーは、キラキラ、キュンキュンした作品が多いと思うので、この作品の内容を知らずに観ると「あれ?どの辺が『初恋』?」と思うかも知れません(笑)。ほんのり恋愛、徐々に恋愛…という感じの描写で、大人になってから観たほうが、この塩梅が醸し出す情緒がよりわかるのではないでしょうか。
『初恋』
2020年2月28日より全国公開
PG-12
東映
公式サイト
© 2020「初恋」製作委員会
TEXT by Myson