REVIEW
本作は1998年に劇場公開された黒沢清監督の同名作品を、フランスを舞台にセルフリメイクした作品です。まず、驚くのは主演の柴咲コウの流暢なフランス語です。フランス在住なのかと思えるくらい流暢な上に、冒頭のシーンでパリの風景にあまりに馴染んでいる佇まいに見とれます。そして、フランスからはダミアン・ボナールとマチュー・アマルリック、日本からは西島秀俊、青木崇高と、演技派が出演者に名を連ねています。
1998年のオリジナル版を観ている方は比較して楽しめるのはもちろんのこと、本作から観る方は前情報を極力入れずに観ることをオススメします。何も知らずに観ると、柴咲コウが演じる小夜子の意図が読めない怖さがあり、クライマックスで一気に明かされる謎に圧倒されるでしょう。小夜子の言動は優しさからくるのか、狡猾さや狂気からくるのか、ぜひ小夜子の謎に振り回されながら観てください。
ただ怖いだけではなく、人間の中にある複雑に歪んだ一面を、エグい描写で見せられるのは黒沢清監督ならではです。ラストで「そうだったのか!」となるはずなので、2回目を鑑賞するとガラッと違った印象で観られるのではないでしょうか。一件不可解な言動が最後に一気に意味を成すので、伏線を辿りながら観るのもオススメです。
デート向き映画判定
ネタバレになるので詳しくは書きませんが、夫婦で観るとどんな空気になるんだろうと思ってしまうストーリーです(笑)。ただ、映画を一緒に観に行くような夫婦関係なら、本作の鑑賞でギクシャクすることはないと思います。鑑賞後はどれだけ伏線に気づいたかを話し合うと盛り上がりそうです。
キッズ&ティーン向き映画判定
子どもの立場だと怖いと感じる設定なので、せめて中学生くらいになってから観るほうが良いのではないでしょうか。また、クライマックスでは予想外の側面にショックを受ける部分があるかもしれません。大人達の醜い姿は反面教師として観てください。
『蛇の道』
2024年6月14日より全国公開
KADOKAWA
公式サイト
© 2024 CINÉFRANCE STUDIOS – KADOKAWA CORPORATION – TARANTULA
TEXT by Myson
本ページには一部アフィリエイト広告のリンクが含まれます。
情報は2024年6月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。