妊活中の夫婦が登場する映画はいろいろありますが、テーマそのものが妊活で、しかも男性目線というのはなかなかない中で、本作は原作者自らの体験談を描いている点でとても参考になります。実際に妊活で苦労した人でない限り、不妊は決して女性だけの問題ではないこともあまり知らないだろうし、男性も妊活で努力しなければいけないことがあるなんて思わないと思いますが、主人公の男性がここまでやるかというくらいに熱烈な妊活をするので、子どもが欲しいという世の男性には、ぜひ観ておいて欲しいと思います。「そんな会話を普通にしちゃうの?」とか、普段覗けない他人の家庭を覗き見ている感覚もあるので、妊活だけにフォーカスしなくても、よその夫婦関係を知りたい人にも興味深く観られるでしょう(笑)。
これから妊活しようという夫婦や、妊活中で苦労している夫婦で観ると、勇気をもらえる部分があると思います。男性が病院に行きたくない心情なども描かれているので、奥さん自身が男性のデリケートさを改めて知る機会にもなると思います。一方で「妊活は2人で励むものだ」ということをパートナーにわかって欲しい人にとっても、それとなく思いを伝えられるストーリーになっています。ただ、主人公と同じようにするのはすごく大変だし、逆に二の足を踏ませることになる可能性もあるので、その辺は夫婦それぞれというスタンスを伝えたほうが良いかも知れませんね。
性教育がまだのキッズが観ても何のこっちゃとなるし、ティーンにとっても、大人とは違う感覚で、生々し過ぎて戸惑う部分があると思います。将来、同じ苦労をする人も出てくるかも知れませんが、10代まではまだ気にしなくても良いのではと思います。大人になって、結婚する頃に観るのが良いと思います。
『ヒキタさん! ご懐妊ですよ』
2019年10月4日より全国公開
東急レクリエーション
公式サイト
© 2019「ヒキタさん! ご懐妊ですよ」製作委員会
TEXT by Myson