初っぱなから登場するユマ・サーマンが演じる女性キャラクターがあまりに強烈で、マット・ディロンが演じる主人公のイライラを観ているこちらもリアルに体感できます。なので、一瞬主人公の気持ちを理解できた気になるのですが、その後のクレイジーな展開には、ただただ口をアングリしてしまうはず。もう主人公を人間として観られないほどに、彼はとんでもない方向に暴走していくのですが、まさにその人間を超越した狂気が、ラストの世界観に見事に結びついていきます。今作も、ラース・フォン・トリアー監督好きには堪らないエグい映画になっていますが、彼の作品によく描かれている不条理という視点でいくと、今作は予想外の終わり方をしているとも言えます。どういう結末なのかは皆さんご自身の目で確かめて頂くとして、全体のストーリー、主人公のキャラクターのクセの強さはもちろん、個人的には主人公お気に入りの“お財布”が頭から離れません。いや〜もうほんと、ラース・フォン・トリアーの頭の中はどうなってるんでしょう(笑)!キモイ、怖いを通り越して笑ってしまいましたが、女子の皆さんには特にショックが大きいシーンですので、心してご覧ください。前述のユマ・サーマンをはじめ、主演のマット・ディロンほか、ブルーノ・ガンツ、ライリー・キーオの好演も必見ですよ。
これはデートで観てはいけないやつです(笑)。初デートや付き合いたてで、あまり映画の内容を知らずに誘ってしまったら、どういうつもりで誘ったのかと人格を疑われる可能性があるので注意しましょう。映画好き同士なら、会話のネタに良いかも知れませんが、一応過去にラース・フォン・トリアー作品を観たことがあるかどうかは確認してから誘ったほうが良いでしょう。
R-18なので、18歳未満の人は観られません。18歳以上でも、エグい映画に免疫がない状態で観たら、ストーリー的にも見た目的にも刺激の強いシーンにショックを大いに受けると思うので、せめて観た後に気分転換できるように、昼に観る、仲の良い友達を誘って観ることをオススメします。
『ハウス・ジャック・ビルト』
2019年6月14日より全国公開
R-18+
クロックワークス、アルバトロス・フィルム
公式サイト
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TEXT by Myson