子育てが大変だというのは、頭では想像できでも体験しないとわからない。本作では、母親がいなくなり、慣れない父親だけで2人のまだ幼い子どもを育てながら家計も支えて家事もやってという設定にすることで、ワンオペ育児をやっている側の苦労が、そうでない側にもよりわかりやすく伝わる内容になっています。母親だけか父親だけかに限らず、1人で子育てをするという状況がどういうものなのかと想像させられるし、親が2人揃っている時にもっとお互いにできること、気付けることがあるんじゃないかと問いかける内容でもあります。そして、親も意図して協力し合えてないわけではなく、父親が仕事に励み、そちらで問題を抱えていると、母親は家庭の問題を相談することに気が引けてしまい、自分の中に抱えてしまう…。そういった悪循環がお互いを追い込んでいるという状況も、万国共通であるのだなとわかります。胸が締め付けられるシーンも多いですが、子ども達が無邪気で、率直なところが微笑ましく、とてもカワイイので癒されます。現実を突きつけつつも、前を向く気持ちにさせてくれる作品です。
これから家庭を持とうとしているカップルや、結婚して子どもができる夫婦、子どもが既にいる夫婦にオススメの作品。2人で協力し合えている夫婦なら、もっと協力しながら家庭を守ろうと思えるだろうし、どちらかに負担がかかっている夫婦なら、客観視できるので、改善するきっかけになるのではないでしょうか。でも、相手を責めるために一緒に観るのではなく、まずは状況を理解してもらうというスタンスで平和的に話ができると良いですね。
お母さん、お父さんの立場で観られる物語で、子ども達の気持ちにも共感できると思います。キッズにはまだピンとこないかも知れませんが、中学生以上ならもう手が離れ始めているとはいえ、親の苦労が改めて感じられるので、これを機に家事のお手伝いをしたり、もっと自分の事は自分でやるようにしたり、自分にもできることを考えるきっかけにするのもアリでしょう。
『パパは奮闘中!』
2019年4月27日より全国順次公開
セテラ・インターナショナル
公式サイト
©2018 Iota Production / LFP – Les Films Pelléas / RTBF / Auvergne-Rhöne-Alpes Cinéma
TEXT by Myson