恐らく望まずして闇社会に生きていた2人の男が、闇世界から距離を置いて過ごそうともがく姿を、台湾を舞台に描いた物語です。トヨエツが演じるキャラクター、妻夫木聡が演じるキャラクターは、最初はっきりとした繋がりがわかりません。2人は、決して楽しくない質素な旅をしながら、一緒に時間を過ごすなかで、徐々に心の距離を縮めていき、ある意味“パラダイス”を探す仲間になっていきます。台湾の風景を活かしたシーンがとても美しく、色使いにこだわりを感じるし、抽象的にパラダイスをイメージさせていて、この2人の楽園がどんなものであるのか、想像を膨らませてくれます。でも、クライマックスで2人の過去の真相が明らかになり、急転回。その先にある展開が、2人が“パラダイス”にたどり着けるかどうかの答えになっているように思えて、一筋縄ではいかない物語に引き込まれます。舞台となる台湾の世界観にハマった主演2人の空気感も、邦画で観るムードと異なり新鮮。静かに流れる物語のなかで、心情の細かい動きにフォーカスした作品なので、派手さはないですが、俳優2人の演技力が堪能できる作品となっています。
全体的に低いテンションで進んでいき、闇社会にまつわるストーリーでもあるので、デート向きとは言えません。台湾の名所的なところよりも、生活感のある場所を舞台としているシーンが多いので、観光の参考にできる部分があるかは微妙なところです。映画をよく観る方向けの作品というイメージなので、映画好きカップルなら、デートで観るのもありでしょう。
キッズにはまだピンとこない内容でしょう。見た目に派手な展開が少なく、心情の変化を丁寧に描いた作品で、大人向けなので、背伸びしたいというのでなければ、大人になってから観たほうが、より共感しながら観られるのではないでしょうか。
『パラダイス・ネクスト』
2019年7月27日より全国順次公開
ハーク
公式サイト
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TEXT by Myson