REVIEW
“ハッピー”や“ゲット・ラッキー”をはじめとする大ヒット曲を多数生み出し、他のビッグ・アーティストへの楽曲提供やプロデュースでも並外れた偉業を成してきたファレル・ウィリアムスの人生が初めて映画化されました。でも、「なぜレゴ®で?」と思った方もいるでしょう。それにはしっかり理由があり、本作の冒頭の彼の言葉を聞けばわかります。そして、それはユニークなアイデアという点に留まらず、彼が伝えたいメッセージの深さにも通じています。さらに、本作を観ていくにつれ、レゴ®で表現するというユニークさは、ファレル・ウィリアムスらしさの表れだと気づきます。

ほとんど彼について知らないとしても、本作で出てくる数々の楽曲を聞けば、聞いたことのある曲ばかりだと思うはず。実際に私はほとんど彼の経歴を知らずに観たものの、「あの曲もその曲もファレル・ウィリアムスが手掛けたのか!」と驚きました。また、彼は好奇心旺盛で、音楽だけではなく、ファッションなど興味を持った分野でさまざまな制作活動に携わっていて、思いのままに生きている姿は観ていて爽快で、強い共感を覚えます。

彼の類稀な才能は、彼が自分らしくあるからこそ発揮されている点も印象的です。逆にいえば、そうではなかった時期に彼は相当苦しみます。誰にでもスランプはあるというだけではなく、大きな成功を掴んだ人間には、私利私欲で近づいてくる人物が必ずいます。彼も例外ではなく、彼の富みにあやかろうとする人物からの入れ知恵のために、自分らしくいることを妨げられます。でも、そんななか、もがきにもがいた末に彼は再び自分らしさを取り戻す姿に希望をもらえます。

彼の才能を見抜いた祖母の言葉にも心に響く金言が複数あります。一つだけ紹介すると、「好きなことの中に、人の役に立つことがある」という言葉がありました。言葉を聞いただけでは、高い理想に聞こえるし、どうやって現実に落とし込むのか想像するのは簡単ではないものの、その言葉が彼にどんな影響を及ぼしたのかを観ると、大きなヒントを得られます。好きなことを仕事にできるのかな、そうした仕事って続くのかなと自信が持てない方、一度そうした自信を持っていたけれど失ってしまった方には特に響くと思います。

個人的に、この作品を観たタイミングが自分にとってすごく意味があるタイミングだったこともあり、響くところが多くあったと同時にたくさんの気づきとパワーをもらいました。本作を観て、ファレル・ウィリアムスが一気に好きになりました。ファレル・ウィリアムスをあまり知らない方、音楽に疎い方にもオススメです。そして、レゴ®による表現がすごくカワイイのと同時に、こんなに表情豊かに描けるのかと驚かされます。子どもから大人まで楽しめる異色作、ぜひご覧ください。
デート向き映画判定

ファレル・ウィリアムスの妻のヘレン・ラシチャンの存在も印象的に描かれています。ファレル・ウィリアムスが絶好調な時でも、絶不調な時でも、ヘレンが静かに見守る優しさがすごく伝わってきます。ファレルとヘレンの夫婦関係は、カップルにとって良いお手本にできるでしょう。
キッズ&ティーン向き映画判定

レゴで描かれる世界がとても可愛くて、楽しいので、ファレル・ウィリアムスを知らない若い世代の皆さんでも存分に楽しめます。本作では「7種類の肌色と51種の顔パーツが含まれたレゴ®ミニフィギュアで多様性」が表現されています(映画公式資料)。クリエイティブな刺激も存分に得られるはずです。

『ファレル・ウィリアムス:ピース・バイ・ピース』
2025年4月4日より全国公開
パルコ、ユニバーサル映画
公式サイト
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TEXT by Myson
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情報は2025年3月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。
