REVIEW
子ども達はいつも戦っていて、大人の世界とは異なる過酷な毎日を過ごしているのだなと実感させられるストーリーです。主人公は7歳の少女ノラ(マヤ・ヴァンダービーク)。ノラは小学校に入学し、初日は学校の入口で泣いて行き渋り、給食の時間や休憩時間も、3つ上の兄アベル(ガンター・デュレ)と一緒にいようと必死です。でも、学校に通ううちに友達ができます。一方、兄のアベルはいじめの対象になり、ノラはその現場を目撃し助けようとするものの、アベルに口外しないようにいわれ戸惑います。

ノラは最初人見知りで学校に馴染むのに苦労していたものの、友達ができるにつれて笑顔も増えていきます。一方で、アベルの問題が浮き彫りになり、ノラは自分の環境を守ることと、兄を救うことの間で葛藤します。いじめを阻止することは大人が考えているよりも難しく、介入したところでまた別の問題が出てくる現実を、本作は突きつけています。

アベルの問題は、ノラが見過ごせば済むことではなく、ノラの友人関係にも影響を及ぼします。さらにノラはあるクラスメイトの心ない言葉に何度も傷つけられます。こうした場面では、どこで覚えたのだろうと思うような知識にまつわる言葉が聞こえてきます。子どもは無邪気で素直だからこそ、周囲から入ってくる情報や、身近な大人の偏見からもろに影響を受けているのがわかります。

本作は、子ども時代のサバイバルを生々しく擬似体験する機会を与えてくれます。そんな本作を支えるのは、名子役達。ローラ・ワンデル監督は、ノラを演じるマヤ・ヴァンダービークについて、「この映画に全⼒を尽くしたい」というマヤの言葉に胸を打たれたといいます。マヤは本作のために躊躇なく長かった金髪を切ったそうです。また、アベル役のガンター・デュレについても、「少し怖い役だったかもしれないけれど、本当によくやってくれました」と称賛しています。他の子ども達も含め、撮影に入る3ヶ月前から週末にレッスンし挑んだそうです(映画公式資料)。子ども達の戦う姿をぜひご覧ください。
デート向き映画判定

シリアスで胸が痛くなるストーリーなので、デート向きとはいえないものの、こういった状況をどう捉えるかに価値観が表れそうです。なので、長い交際ができるかどうか見極めている最中なら、敢えて一緒に観て相手の感想を聞いてみると、相性の良し悪しを検討する材料が得られるのではないでしょうか。
キッズ&ティーン向き映画判定

子ども達のリアルな日常が描かれていて、同世代の皆さんは等身大で観られると思います。さまざまな登場人物が出てくる中で自分に近い立場のキャラクターも出てくるでしょう。残酷な場面も複数出てくるので胸が痛くなると思いますが、同じような状況に陥った際に、自分に何ができるのか、自分はどうありたいのかを、客観視する機会になるかもしれません。

『Playground/校庭』
2025年3月7日より全国順次公開
アルバトロス・フィルム
公式サイト
©2021 Dragons Films/ Lunanime
TEXT by Myson
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情報は2025年3月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。