ベネディクト・カンバーバッチ、キルスティン・ダンスト、ジェシー・プレモンス出演、『ピアノ・レッスン』ジェーン・カンピオンが監督を務めるということで映画ファンなら気になる1作ですよね。出演者には、若手実力派トーマシン・マッケンジーや、『ぼくのエリ 200歳の少女』のリメイク作『モールス』で主役を務めたコディ・スミット=マクフィーも名を連ねています。
主なキャラクターは、兄弟で牧場主を務めるフィル(ベネディクト・カンバーバッチ)とジョージ(ジェシー・プレモンス)、そしてシングルマザーのローズ(キルスティン・ダンスト)とその息子ピーター(コディ・スミット=マクフィー)の4人です。この4人の関係がどう始まりどう変わっていくのかが物語の軸となっています。フィルはとても高圧的で気難しい性格、ジョージは穏やかでフィルとは正反対です。フィルは弟ジョージをとても気にかけていますが、ジョージは兄と少し距離を置こうとしていて、この微妙な関係が本作の良い意味でつかみどころのない空気感を作り出しています。特にカンバーバッチが演じるフィルは何を考えているのかわからない不気味さがあり、温かいストーリーなのか、それとは真逆なのか、最後まで読めないおもしろさがあります。そんな流れを辿ってのラストでは「うわわわ〜」となって、ジワジワっとくるものがあります。敢えてそれがどっちの意味かはここで書きませんので(笑)、ぜひご自身で観て確かめてください。
実生活でパートナーのキルスティン・ダンストとジェシー・プレモンスの共演も見もの。ベネディクト・カンバーバッチに負けじとコディ・スミット=マクフィーもすごく雰囲気があって存在感を発揮していますので、いろいろな視点で楽しんでください。
カップルで観ることで特別気まずくなるようなシーンはありませんが、静かに展開するストーリーなので、普段あまり映画を観ない方にとっては好みが分かれるかもしれません。若干観察力を必要とするシーンや展開があるので、配信でご覧になる方は、家で何かしながら、2人で別の話をしながら気楽に観るというよりは、集中して観たほうが良いでしょう。そういう意味では配信で観る場合も1人でじっくり観るほうがオススメです。
R-15相当となっており、内容も大人向けです。ティーンの皆さんはコディ・スミット=マクフィーが演じるピーターの目線で観る方が多いと思いますが、繊細な心がある出会いによってどういう影響を受けて、彼にどんな変化が表れるのかに注目して観てください。見た目に派手な展開はあまりないですが、嚙めば嚙むほど味が出るといったように、深いところまで理解できれば映画のおもしろさを一際感じられる作品です。映画ファンとしていろいろな作品にトライしたいティーンの皆さんは観てみてはどうでしょうか。
『パワー・オブ・ザ・ドッグ』
2021年11月19日より一部劇場にて公開、12月1日よりNetflixにて配信開始
R-15+相当
公式サイト
TEXT by Myson