REVIEW

プレゼンス 存在【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『プレゼンス 存在』ルーシー・リュー

REVIEW

スティーヴン・ソダーバーグが撮ったホラー映画ってどんな作品なのか気になりますよね。観てみると、やはり、ソダーバーグらしさが感じられて、ただのホラーに収まることのない、ベテランの技と器用さを感じる作品となっています。
その所以は、脚本を手掛けたデヴィッド・コープの発言からもうかがえます。コープは、物語全体を導くための“制約”について「僕は制約が大好きでね。(中略)今回は、”一軒家の中だけ”。クリエイティブなヘイズ・コード(映画製作の倫理規制)のようなもので、思考を制限することで思考を解放する」と述べています(映画公式資料)。ソダーバーグ監督はこの“制約”のもと、家族の物語を見事に描いているといえます。ちなみに映画公式資料にあるソダーバーグ監督の話によると、本作はソダーバーグ監督がロサンゼルスで購入した家で起きた出来事から着想を得たそうですよ。

映画『プレゼンス 存在』カリーナ・リャン

『プレゼンス 存在』というタイトルは、字義通りある存在を指しつつ、その存在がどんな存在なのかという問いにも捉えられます。目に見えない“存在”は、得体が知れないため怖い存在として捉えるのは当然です。一方で、本作のストーリーは、自分が知る人間なら安心なのかという問いも投げかけてきます。

映画『プレゼンス 存在』カリーナ・リャン

だから、ホラー映画の要素はありつつ、思いもしない怖さがある人間ドラマともいえます。ストーリーの中心は、娘のクロエ(カリーナ・リャン)であるものの、母レベッカ(ルーシー・リュー)、父クリス(クリス・サリヴァン)、兄タイラー(エディ・メディ)それぞれにひっかかる要素が出てきます。この一家は、一見優雅で居心地の良さそうな造りの家に住みながら、ギクシャクした家族関係で、たとえば彼らの食卓では何ともいえない不穏な空気が漂っています。だから、得体の知れない“不安”という意味では、超常現象よりももっと怖い不安を投影しているようにも見えます。

映画『プレゼンス 存在』ルーシー・リュー/クリス・サリヴァン/カリーナ・リャン/エディ・メデイ/ウェスト・マルホランド

ストーリーはシンプルでありながら、なんだか気味が悪いと感じる人や人間関係が描かれている本作。観客に解釈の余地を与えている点でも、観る側次第で楽しみ方が広がると思います。

デート向き映画判定

映画『プレゼンス 存在』ルーシー・リュー/クリス・サリヴァン

いわゆる怖いだけのホラーとは異なるので、比較的観やすいと思います。一応ジャンルとしてはホラーとされているので、初デートで誘うには微妙なところではあるものの、ある程度お互いの映画の好みがわかった上で2人とも興味があるなら、デートで観るのもアリでしょう。見えない存在の動きにドキッとするシーンもあるので、程よい吊り橋効果も期待できます。

キッズ&ティーン向き映画判定

映画『プレゼンス 存在』カリーナ・リャン

見えない存在に対してユニークな捉え方をしている部分もあり、観終わった後の印象はさまざまだと思います。とはいえ、得体の知れない対象について免疫ができていない場合は、映画を観終わった後にふいに思い出して怖くなる可能性もあります。なので、中学生くらいになってから、自分で興味が湧いたら観るほうが良いのではないでしょうか。

映画『プレゼンス 存在』

『プレゼンス 存在』
2025年3月7日より全国公開
PG-12
ロングライド
公式サイト

ムビチケ購入はこちら
映画館での鑑賞にU-NEXTポイントが使えます!無料トライアル期間に使えるポイントも

© 2024 The Spectral Spirit Company. All Rights Reserved.

TEXT by Myson

本ページには一部アフィリエイト広告のリンクが含まれます。
情報は2025年3月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。

関連記事
  • イイ俳優セレクション/クリス・サリヴァン(後日UP)
  • イイ俳優セレクション/ルーシー・リュー(後日UP)
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『ロングレッグス』マイカ・モンロー ロングレッグス【レビュー】

ニコラス・ケイジがプロデューサー兼連続殺人犯を演じている本作は…

映画『白雪姫』スペシャル歌唱イベント:レイチェル・ゼグラー、吉柳咲良(日本語吹き替え版キャスト) 一生に一度しかないのではないかという想いで大事にしてきた作品です『白雪姫』レイチェル・ゼグラー来日

映画『白雪姫』で白雪姫役を演じたレイチェル・ゼグラーが初来日を果たし、日本語吹き替え版で白雪姫の声を担当した吉柳咲良と共にイベントに登壇しました。

映画『ケナは韓国が嫌いで』コ・アソン ケナは韓国が嫌いで【レビュー】

自分の現状に違和感を持っていても、打破しようと行動を起こすのは…

映画『ミッキー17』ロバート・パティンソン 『ミッキー17』ポン・ジュノ監督登壇!ジャパンプレミア試写会 5組10名様ご招待

映画『ミッキー17』ポン・ジュノ監督登壇!ジャパンプレミア試写会 5組10名様ご招待

映画『35年目のラブレター』笑福亭鶴瓶/原田知世 35年目のラブレター【レビュー】

戦時中に生まれ、家庭の事情から小学校を卒業できないまま大人になった主人公と、彼を支えた妻の物語を描いた本作は、実在する西畑保氏…

映画『敵』長塚京三 長塚京三【ギャラリー/出演作一覧】

1945年7月6日生まれ。東京都生まれ。

映画『デビルズ・ゲーム』チャン・ドンユン/オ・デファン ポッドキャスト【だからワタシ達は映画が好き29】2025年3月前半「気になる映画とオススメ映画」

今回は、第97回アカデミー賞で、作品賞、監督賞、主演女優賞、脚本賞、編集賞の5部門を受賞した『ANORA アノーラ』の話題からスタート。その他、ソダーバーグ監督のホラー、ニコラス・ケイジ最新作など、さまざまな作品を取り上げました。

映画『Playground/校庭』マヤ・ヴァンダービーク/ガンター・デュレ Playground/校庭【レビュー】

子ども達はいつも戦っていて、大人の世界とは異なる過酷な毎日を過ごしている…

映画『ワンダー 君は太陽』ジュリア・ロバーツ/ジェイコブ・トレンブレイ 学びが詰まった映画『ワンダー 君は太陽』【映画でSEL】

前記事で、商業映画とSEL(社会性と情動の学習)は相性がバッチリだと書きました。今回はこれぞ学べる映画と感じた作品を取り上げます。

映画『プレゼンス 存在』ルーシー・リュー プレゼンス 存在【レビュー】

スティーヴン・ソダーバーグが撮ったホラー映画ってどんな作品なのか…

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『セトウツミ』池松壮亮/菅田将暉 映画好きが推すとっておきの映画を紹介【名作掘り起こし隊】Vol.4

このコーナーでは、映画業界を応援する活動として、埋もれた名作に再び光を当てるべく、正式部員の皆さんから寄せられた名作をご紹介していきます。

映画『オッペンハイマー』キリアン・マーフィー 映画好きが選んだ2024洋画ベスト

正式部員の皆さんに2024年の洋画ベストを選んでいただきました。2024年の洋画ベストに輝いたのはどの作品でしょうか!?

映画『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』トム・ホランド/ゼンデイヤ 映画好きが選ぶマーベル映画ランキング

2025年もマーベルシリーズ最新作が公開されます。そこでこれまでのマーベルシリーズも合わせて盛り上げたいということで、ランキングを実施しました。

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『ワンダー 君は太陽』ジュリア・ロバーツ/ジェイコブ・トレンブレイ
  2. 【映画でSEL】複数子ども手を繋ぐ後ろ姿
  3. 映画『インサイド・ヘッド2』

REVIEW

  1. 映画『ロングレッグス』マイカ・モンロー
  2. 映画『ケナは韓国が嫌いで』コ・アソン
  3. 映画『35年目のラブレター』笑福亭鶴瓶/原田知世
  4. 映画『Playground/校庭』マヤ・ヴァンダービーク/ガンター・デュレ
  5. 映画『プレゼンス 存在』ルーシー・リュー

PRESENT

  1. 映画『ミッキー17』ロバート・パティンソン
  2. 映画『ファレル・ウィリアムス:ピース・バイ・ピース』
  3. 「第6回大島渚賞」
PAGE TOP