本作は、アパルトヘイト政策下の南アフリカで育ったティム-ジェンキンの自伝「脱獄」(同時代社刊)に記された実話を基に映画化。1978年、南アフリカ人のティム(ダニエル・ラドクリフ)は、アパルトヘイトに反対するネルソン・マンデラ率いる組織「アフリカ民族会議(ANC)」の隠密作戦を行いますが、同胞のスティーブン・リーと共にテロリストとしてプレトリア刑務所に投獄されてしまいます。この刑務所はかなり厳重に警備されており、脱獄は不可能と言われていますが、ティムとスティーブンはアパルトヘイト政権に対する抵抗を示す意味でも脱獄すべきだと考え、方法を探ります。この刑務所には同じように政治犯として捕まった人がいますが、皆もう諦めていてティム達の脱獄に同行しようという勇気はありません。それでも諦めずにティム達は日々着々と準備を進めていくのですが、その脱獄方法があまりにもオーソドックスで逆にビックリなんです。本作のキャッチコピーやキービジュアルにも写っていますが、なんと木で作った鍵で脱走しようとするんですよね。「まあ鍵があれば出られるでしょうけど…」と思いますが(苦笑)、まさかそれを本気でやるとは誰も思わないはず。そこが本作のおもしろいところで、とはいえこれは実話を基にしていますから、結局どうするのかは楽しみにして観てください!歴史的背景がある作品ではありますが、脱獄部分がメインに描かれているので、内容は至ってシンプルです。構えずに観てください。
刑務所ものはむごい暴力シーンなどがありがちですが、本作はそういうシーンがほぼ無いので安心して観てください。脱獄できるかどうかのハラハラドキドキはあるので、エンタテインメントとしても楽しめるし、世界史が好きな人も大きな政治的出来事の裏でこういった事件があったのかと興味深く観られると思います。観終わった後は本作の感想を語るも良し、さらっと次の予定に移っても良しという感じで、観る人によってスタンスを選べる作品です。
世界史の授業でアパルトヘイトについて学ぶと思いますが、こういった映画から興味を持って勉強に繋げるのも1つの方法です。勉強するぞと思うと難しく思えてしまいますが、エンタテインメントから入ると、すんなり歴史に触れることができるでしょう。本作にはアパルトヘイトについて詳しいことは出てきませんが、これを機に自分で調べてみると、興味を持って楽しみながら勉強できるのではないでしょうか。
『プリズン・エスケープ 脱出への10の鍵』
2020年9月18日より全国順次公開
アット エンタテインメント
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TEXT by Myson