タイトルにある“プロミシング・ヤング・ウーマン”とは、前途有望な若い女性という意味です。それが何を意味するのか、そのことにどんな重みがあるのかは、物語が進行するにつれ明かされていきます。どんなストーリーなのかは敢えて具体的に書かないでおきますが、泥酔した主人公のキャシーが冒頭で登場してからの展開は驚くべきものがあります。これは、ある出来事を機に運命を狂わされた女性の復讐劇ですが、個人間の恨みだけではなく、社会に対する復讐と言えて、女性なら誰もが少なからず経験することを描いている点で他人事としては観られません。そして、ここで描かれる問題の根が深いことは物語を通して痛感させられ、それは必ずしも女性が皆女性の味方とは限らないこと、どんな人でも加害者側になり得ることも示されているだけに、一層自分事として感情移入して観られると思います。
復讐劇の末路も衝撃的で、それくらい強烈なものに昇華した根本の怒りの大きさが比例していると解釈できます。とてもスタイリッシュに描かれていて、エンタテインメント性も感じられますが、きちんとこの物語が伝えたいメッセージが観る方々に伝わると良いなと思える重みのある内容です。
カップルで観るには気まずい展開もありますが、ぜひ共有して欲しい内容ではあります。女性は日常で何かしらこういう状況にさらされていることをパートナーに知ってもらうだけでも、安心感が持てて、信頼関係も深まるのではないかと思います。説教的な意味ではなく、身近な人物から理解を深めてもらい、意識を向けてもらう働きかけをする意味でも、好きな人と一緒に観ていろいろと話し合うのも良さそうです。
女子の皆さんは中学生、高校生くらいになると、残念ながらだんだん映画と似たような状況を感じることが増えると思います。そして、自分で自分の身を守ることも必要だというのは正直あります。悪い人に見えなくても、罪の意識がなく、映画のような言動をしてしまう人はいます。こういう現実があるんだなということが知られるストーリーなので、エンタテインメントとして楽しみながらも、参考になる部分が大いにあると思います。
『プロミシング・ヤング・ウーマン』
2021年7月9日より一部先行公開/7月16日より全国公開
PG-12
パルコ、ユニバーサル映画
公式サイト
© Universal Pictures
©2020 Focus Features, LLC.
©Focus Features
TEXT by Myson
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