巧みなトリックとどんでん返しの繰り返しで、気持ち良く騙される快感を得られます。物語は、全世界待望のミステリー小説の新刊を世界同時出版するため、9名の翻訳家がフランスの人里離れた村にある要塞のような洋館に集められるところから始まります。そこではネット、電話などの外部との連絡を一切絶たれており、外出も禁じられています。これは新刊の内容が出版されるまで絶対に外に漏れないようにするためなのですが、なんとこんな厳重な体制のもとで、新刊の内容が盗まれてしまうという事態が発生します。そこで犯人は誰かと大騒ぎになるのですが、ここから物語はガラリと様相を変え、緊張感が一気に増していきます。観る側も誰が犯人なのかずっと探りながら観ることになるのですが、映し方やセリフなどが綿密に計算されていて、種明かしがされる度に、あらゆるところに謎解きのヒントが仕掛けられていたことがわかっていくのが爽快です。またキャラクターが翻訳家というのもミソで、何から何まで上手く作り込んでいるなと感服します。文学への愛も感じられるので、本好きな人にもオススメです。
かなり見入ってしまう内容なので、隣の好きな人がほったらかしになる可能性があります(笑)。なので、ムーディになっている暇はありませんが、観終わった後にはいろいろと会話が弾むのではと思います。カップルで観て気まずいこともなく、誰が観ても楽しめるので、初デートでもありでしょう。ただ、やはりミステリーということで頭を使うので、そういうタイプが苦手な人を誘うのは控えたほうが良さそうです。
若い皆さんは頭が柔らかいので、こういう謎解きは大いに楽しめるでしょう。1人でじっくり観るのも良いですが、観終わった後に「あそこで気付いた」とか、「あの人があのシーンでこんなことをしてたから気になってた」とか、話せる相手がいるほうが楽しいです。親子で観ても、友達と観ても良いでしょう。
『9人の翻訳家 囚われたベストセラー』
2020年1月24日より全国順次公開
ギャガ
公式サイト
TEXT by Myson
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