REVIEW
本作は、大阪芸術大学在学の杵村春希による長編初監督作品です。公式資料によると監督がコロナ禍において、若年層の望まない妊娠が増加したというニュースに関心を持ったことで本企画が動き出したそうです。物語の主人公は高校3年生の澪(山﨑翠佳)です。彼女の妊娠発覚をきっかけに、彼氏の渚(太志)や家族、友達と本音でぶつかり合う様子が描かれています。
高校生の望まない妊娠という点からさまざまな壁が立ちはだかることが想像できますが、本作でもその壁をどう乗り越えていくのかが見どころです。観ている側としては、客観的に澪はもちろん、彼氏や友達、親などさまざまな人物の心境を知ることで、リアルに考えさせられます。また、上映時間66分の間に、澪の子どもらしい部分と大人になろうとする姿の両方が垣間見え、そんな澪を演じた山﨑翠佳の瑞々しい演技も印象に残ります。
望まない妊娠というテーマがありながら、人間ドラマとしても見応えがある作品です。どの世代にも響くものがあると思いますが、20代前半の若手スタッフ&キャストが手掛ける作品ということで、同世代の方には特に刺激になるのではないでしょうか。
デート向き映画判定
恋愛に絡む物語ではあるものの、キュンとする要素はほぼありません。デートで観る場合は事前にどんなテーマの作品なのか相手に伝えた上で一緒に観るほうが良い気がします。澪と同世代のカップルの場合は、澪の姿を通して望まない妊娠をした場合にどんなことが起こるのか疑似体験することで、教訓を得られると思います。
キッズ&ティーン向き映画判定
澪と彼氏や友達とのやり取りは同世代の皆さんならよりリアルに感じられるのではないでしょうか。高校生の妊娠というデリケートなテーマを扱っているので、敢えてこういう作品を観て勉強するのも良いと思います。また、本作では本音で語り合うことの大切さも描かれているので、これを機に周囲の方との関係を見直す良い機会にもなりそうです。
『カフネ』
2024年10月12日より全国公開
ハルキフィルム
公式サイト
TEXT by Shamy