本作は、アメリカに実在する公営住宅地カブリーニ=グリーンの殺人鬼”キャンディマン”の都市伝説について書かれたクライヴ・バーカーの小説「禁じられた場所」を原案としたバーナード・ローズ監督作(1992年)がベースとなっています。製作、脚本は『ゲット・アウト』『アス』のジョーダン・ピールが担当しているとあって、ただのホラーではないだろうと予想する方も多いと思いますが、まさにその予想は的中して、ただのホラーでは終わりません。
興味深いのはキャンディマンが殺人鬼であるだけでなく、ある種の役割を持っている点です。その真相は本編でご覧いただければと思いますが、本来の都市伝説にもそういった意味が込められているのか、もしくはジョーダン・ピールやニア・ダコスタ監督の意図で要素が付け加えられたのか、とても気になるところです。1992年版も観てみるとその答えが少し見えてくるのかもしれないと思うと、両方観比べてみるのも良さそうですね。
そういった意味でもホラーという括りによって観ず嫌いで終わる方がいるともったいないです。それなりに迫力のある殺害シーンはありますが、思ったよりも撮り方でマイルドに描写しているところもあるので、これまでのジョーダン・ピール作品が好みに合っていた方はチャレンジしてみてください。
まずジャンル的に無理という方もいらっしゃるので、ちゃんと内容を伝えた上で誘ってみるしかないですよね。殺害シーンが怖いという側面と、描写が気持ち悪いという側面の両方があるので、過去に何作かホラーを観たことがあり耐性がついているか確認したほうが良いと思います。恋人同士の関係も描かれていますが、ロマンチックなムードになるのは期待できないので、吊り橋効果を楽しんでもらえればと思います。
こういう都市伝説って子どもの頃に流行りますが、ダメな人と楽しむ人と分かれますよね。劇中でもまさにそうで皆さんと同じ世代の人達が次々と「キャンディマン」を5回唱えてみるのですが、現実的にも怖くなってしまう方はもうちょっと大きくなってホラーの耐性がついてから観るというので良いと思います。大丈夫な方は複数の友達と観ると、キャンディマンごっこで数字楽しめるのではないでしょうか。
『キャンディマン』
2021年10月15日より全国公開
PG-12
東宝東和
公式サイト
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TEXT by Myson