絵を描く才能はピカイチだけれど、リアルな悪役キャラクターを生み出せないでいた主人公の山城圭吾(菅田将暉)が、ある日偶然殺人現場に出くわしてしまったことから、運命の歯車が狂い出す物語。殺人犯が出てくるということで、ある程度の怖さは皆さん覚悟されると思いますが、後半は想像以上に激しい描写が続きます。ラストの壮絶さから、観終わった後は誰かと話したくなる作品なのですが、極力何も知らないで観たほうが楽しめるので、ここでは詳細を書くのは我慢しますね(笑)。
ただ1つ言っても大丈夫なところでは、菅田将暉、Fukaseの演技が迫力満点なところ。特に今作が俳優デビュー作となるFukaseは強烈なサイコパスを見事に演じていて、すごく不気味で本当に怖いです。さすがアーティストは表現の仕方が何であれ、表現力が豊かでリアルなんだなと思いました。今後の俳優活動も楽しみです。
そして、普通なら伏線が回収されていく様子が心地良いのですが、本作は伏線が回収されてしまうと恐ろしい展開になるのではとゾクゾクさせられます。また、“キャラクター”というタイトルが持つ意味がラストでさらに深くなり、人には自分が何者であるかを知りたいという欲求や、人に存在を知って欲しいという欲求があることを認識させられます。見どころが豊富で、見応えも抜群なので、ぜひ最初から最後までハラハラドキドキを満喫してください。
怖い映画が苦手な人を誘うのは控えたほうが良いですが、2人ともジャンル問わずに観るというカップルならデートで観るのもアリでしょう。これが自分達だったらと想像するとゾッとする展開があり、身を寄せ合って怖さを共有できるかもしれません。終始緊張感があり鑑賞後は良い意味でドッと疲れると思うので、他の予定は入れずに今日は映画鑑賞だけという日に観るのが良いでしょう。
PG-12なので小学生以下の皆さんも大人同伴でなら観られますが、子どもには結構刺激が強く、怖い内容なので、せめて中学生になってから観るほうが良さそうです。作品的には若い方に好まれると思うので、ティーンの皆さんは友達を誘って、心の中でワーキャー言いながら楽しんでください。ただし怖がりさんがいる場合は、昼間に観ることをオススメします。
『キャラクター』
2021年6月11日より全国公開
PG-12
東宝
© 2021 映画「キャラクター」製作委員会
TEXT by Myson