本作は、フランス、ベルギー、インドの合作で、タイトルやキービジュアルからも、ポップなストーリーをイメージするかも知れませんが、アジャの人生は結構過酷で、本編を観ると少しイメージが変わると思います。でも、アジャは辛い目に遭ってばかりにも見えて、そこを暗くなり過ぎず、温かさとユーモアを交えて描くセンスは、やはりインドのノリが活かされているように思います。また、ベレニス・ベジョ、エリン・モリアーティ、バーカッド・アブディ、ジェラール・ジュニョといった国籍の違うキャストの組合せもユニークで、アジャの各国での体験に彩りを添えています。主演のダヌーシュもとても良い味を出していて、キレキレのダンスが印象的!コメディアン的な親近感も魅力で、実生活でインドのスーパースター、ラジニカーントが娘婿として認めたのも納得です(笑)。
人間は平等に創られると言われながら、実際は生まれた国や境遇によってある程度運命が決まっていて、運でどうにかするしかないという冒頭のメッセージに納得しつつ、貧しい境遇だった主人公のアジャが旅のトラブルをきっかけに成長して、同時に周囲の人を無意識に幸せにしていき、自分の本当の幸せに近づいていくストーリーは、観ているこちらも幸せにしてくれます。ミュージカルの要素はありつつほどほどだし、笑えるシーンもちょうど良く盛り込まれているので、幸福感を味わいたい人はぜひ観てください。
アジャの奇想天外な旅を追うストーリーの中にラブストーリーの要素もあり、ある意味ちぐはぐなやり取りが微笑ましく、共感できます。カップルで観ると温かく和やかなムードにしてくれるので、デートで観るのもオススメです。ただし、他に気になる人がいるのに、別の人と交際しているような状況の人は、何らかの刺激を受ける可能性があるので、その点で自信がない人は、友達と観るか、1人で観るほうが良いでしょう。
アジャのストーリーを聞くことになる少年達が登場します。彼らの本作でのメッセージ的な役割は、最後に明らかになりますが、キッズやティーンの皆さんにとても響く内容だという象徴だという解釈ができます。ハリウッド映画以外の洋画は観たことがないという人でも観やすいと思うので、興味を持ったら観てみてください。
『クローゼットに閉じこめられた僕の奇想天外な旅』
2019年6月7日より全国公開
東北新社、STAR CHANNEL MOVIES
公式サイト
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TEXT by Myson