REVIEW

カラーパープル【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『カラーパープル』ファンテイジア・バリーノ

REVIEW

スティーブン・スピルバーグ監督が1985年に撮った『カラーパープル』が、ミュージカルとして蘇りました。本作の製作には、スピルバーグ、オリジナル版でソフィアを演じたオプラ・ウィンフリー、音楽を担当したクインシー・ジョーンズが名を連ねています。主人公のセリーは、ブロードウェイ・ミュージカルでセリー役を演じたファンテイジア・バリーノが務め、同じくブロードウェイ・ミュージカルでソフィア役を演じたダニエル・ブルックスが本作でもソフィア役を演じています。ファンテイジアは、一見か弱いけれど芯がとても強く心優しいセリーを好演。ダニエルは、豪快で明るく勝ち気なソフィアの魅力を引き立てる演技を見せています。無敵のソフィアにも衝撃的な展開があるのでお楽しみに。そして、セリーの妹ネティは『リトル・マーメイド』の実写版でアリエル役を演じたハリー・ベイリーが務めています。他にも、タラジ・P・ヘンソン、コールマン・ドミンゴ、コーリー・ホーキンズ、H.E.R.と魅力的なキャストが揃っています。

映画『カラーパープル』ダニエル・ブルックスほか

物語の舞台はジョージア州沿岸、1909年からストーリーが綴られていきます。母を亡くし、父と妹のネティと暮らしていたセリーは、父が独断で決めた相手、通称ミスター(コールマン・ドミンゴ)と結婚させられます。セリーは、ミスターと前妻との子ども3人の世話と家事、畑仕事とこき使われ、自由のない生活を送ります。そんなセリーにとって、心の支えは妹ネティの存在だけだったにもかかわらず、ある出来事を機にネティとも生き別れとなり、孤独な日々を過ごします。でも、後に義理の娘ソフィアや、歌手となり自由奔放に生きるシュグ(タラジ・P・ヘンソン)と出会うことで、セリーの人生は徐々に変わり始めます。
既に1985年版を観てストーリーを知っていたとしても、本作を観て改めてセリー達女性が受ける仕打ちに衝撃を受けます。黒人差別も描かれていながら、性差別が色濃く映り、時代の風潮に従順に生きざるをえない女性の象徴としてセリーがいて、時代の風潮に逆らうように生きる女性の象徴として、ソフィアやシュグがいます。対極にいる彼女達が、お互いを支え合いながらいかに幸せを見つけていくかが、本作の見どころです。
どんな物語かは映画で観ていただくとして、辛い物語の中に救いがある点が本作の魅力です。セリーを始めとする女性達の忍耐力、包容力、勇気に頭が下がります。そんな女性達の生き様に男性達がどう反応するのかにもご注目ください。この物語に込められたメッセージは、時代、国を越えて、現代の私達にも必要なメッセージです。ぜひ、老若男女問わず観ていただきたい作品です。

デート向き映画判定

映画『カラーパープル』ファンテイジア・バリーノ/タラジ・P・ヘンソン

時代は変わったとはいえ、今でもTPOによっては酷い性差別の真っ只中にいる方もいるでしょう。“これまでの常識”から抜け出せない人は、性差別をしていても全く自覚がないままでいる可能性もあります。本作は、そうした社会の風潮について話すきっかけになると思います。カップルで一緒に観て、日頃悶々としていることを打ち明けたり、お互いの価値観を知るきっかけにするのも良さそうです。

キッズ&ティーン向き映画判定

映画『カラーパープル』

キッズやティーンの皆さんにもぜひ観ていただきたい作品です。日本でもまだまだ性差別があります。それに耐える女性の姿、「これはおかしい!」「こんなことはあってはならない!」と立ち上がる女性の姿のいずれを観ても、考えさせられるところがあります。性差別だけではなく、親子関係にもいえることがあります。自分で判断ができる年齢になっても親のいうことが絶対だとして、ずっと自由を奪われていることがあるかもしれません。本作は、逆境に立たされている人達が、自分にとっての幸せを探すための勇気をくれます。

映画『カラーパープル』ファンテイジア・バリーノ

『カラーパープル』
2024年2月9日より全国公開
ワーナー・ブラザース映画
公式サイト

ムビチケ購入はこちら

© 2023 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.

TEXT by Myson


関連作

『カラーパープル』(1985年製作/オリジナル版)
2024年1月24日より日本語吹替音声追加収録版 <4K ULTRA HD & ブルーレイセット>販売中

映画『カラーパープル』(1985)

Amazonでブルーレイを購入する Amazonプライムビデオで観る

© 1985 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

本ページには一部アフィリエイト広告のリンクが含まれます。
情報は2024年1月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『BETTER MAN/ベター・マン』ジョノ・デイヴィス 社会的成功が本当の幸せをもたらすとはいえない事例【映画でSEL】

昨今、ウェルビーイングという概念が広まりつつあり、社会的な成功は必ずしも幸福をもたらすとは限らないという見方も出てきました。その背景を、「自己への気づき」(SELで向上させようとするスキルの一つ)に紐づけて考えてみます。

映画『片思い世界』広瀬すず/杉咲花/清原果耶 片思い世界【レビュー】

広瀬すず、杉咲花、清原果耶がトリプル主演を務める本作は、『花束みたいな恋をした』の脚本を手掛けた坂元裕二と、土井裕泰監督が再タッグを組んだ…

映画『神は銃弾』マイカ・モンロー マイカ・モンロー【ギャラリー/出演作一覧】

1993年5月29日生まれ。アメリカ出身。

映画『ファレル・ウィリアムス:ピース・バイ・ピース』 ファレル・ウィリアムス:ピース・バイ・ピース【レビュー】

“ハッピー”や“ゲット・ラッキー”をはじめとする大ヒット曲を多数生み出し、他のビッグ・アーティストへの楽曲提供やプロデュースでも並外れた偉業を成してきたファレル・ウィリアムスの人生が初めて映画化…

映画『ANORA アノーラ』ユーリー・ボリソフ ユーリー・ボリソフ【ギャラリー/出演作一覧】

1992年12月8日生まれ。ロシア出身。

映画『片思い世界』公開直前イベント、広瀬すず/杉咲花/清原果耶/土井裕泰監督 存在するということに対しての肯定を、ここまで実験的に描いた物語もなかなかない『片思い世界』公開イベントに広瀬すず、杉咲花、清原果耶が揃って登壇

劇場公開を目前に控え、本作でトリプル主演を務めた、広瀬すず、杉咲花、清原果耶と、土井裕泰監督が舞台挨拶に登壇しました。

映画『おいしくて泣くとき』長尾謙杜/當真あみ おいしくて泣くとき【レビュー】

タイトルを聞いただけで泣いちゃいそうな作品だと予想できるので、逆に泣かないぞと…

劇場版『トリリオンゲーム』今田美桜 今田美桜【ギャラリー/出演作一覧】

1997年3月5日生まれ。福岡県出身。

中国ドラマ『柳舟恋記(りゅうしゅうれんき)〜皇子とかりそめの花嫁〜』QUOカード 中国ドラマ『柳舟恋記(りゅうしゅうれんき)〜皇子とかりそめの花嫁〜』オリジナルQUOカード(500円分) 2名様プレゼント

中国ドラマ『このロマンスはフィクションだから』オリジナルQUOカード(500円分) 3名様プレゼント

映画『ベイビーガール』ニコール・キッドマン/ハリス・ディキンソン ベイビーガール【レビュー】

シンプルに娯楽として楽しむ方、真面目に観る方、両方…

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『キングダム 大将軍の帰還』山﨑賢人/吉沢亮/橋本環奈/清野菜名/吉川晃司/小栗旬/大沢たかお 映画好きが選んだ2024邦画ベスト

正式部員の皆さんに2024年の邦画ベストを選んでいただきました。2024年の邦画ベストはどの作品になったのでしょうか?

映画『セトウツミ』池松壮亮/菅田将暉 映画好きが推すとっておきの映画を紹介【名作掘り起こし隊】Vol.4

このコーナーでは、映画業界を応援する活動として、埋もれた名作に再び光を当てるべく、正式部員の皆さんから寄せられた名作をご紹介していきます。

映画『オッペンハイマー』キリアン・マーフィー 映画好きが選んだ2024洋画ベスト

正式部員の皆さんに2024年の洋画ベストを選んでいただきました。2024年の洋画ベストに輝いたのはどの作品でしょうか!?

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『BETTER MAN/ベター・マン』ジョノ・デイヴィス
  2. 【映画でSEL】森林の中で穏やかな表情で立つ女性
  3. 映画『風たちの学校』

REVIEW

  1. 映画『片思い世界』広瀬すず/杉咲花/清原果耶
  2. 映画『ファレル・ウィリアムス:ピース・バイ・ピース』
  3. 映画『おいしくて泣くとき』長尾謙杜/當真あみ
  4. 映画『ベイビーガール』ニコール・キッドマン/ハリス・ディキンソン
  5. 映画『エミリア・ペレス』ゾーイ・サルダナ/カルラ・ソフィア・ガスコン

PRESENT

  1. 中国ドラマ『柳舟恋記(りゅうしゅうれんき)〜皇子とかりそめの花嫁〜』QUOカード
  2. 中国ドラマ『北月と紫晴〜流光に舞う偽りの王妃〜』オリジナルQUOカード
  3. 映画『ガール・ウィズ・ニードル』ヴィク・カーメン
PAGE TOP