REVIEW
日本への留学経験があるイギリス人監督、パトリック・ディキンソンの長編劇映画デビュー作である本作は、リリー・フランキーを主演に迎えた日英合作です。主人公の兼三郎(リリー・フランキー)は、妻の明子(木村多江)を亡くし、喪失感に打ちひしがれるなか、生前に明子が書いた手紙を受け取ります。そこには、イギリスのウィンダミア湖に、自分の遺灰をまいて欲しいという明子の最後の願いが記されており、兼三郎はその願いを叶えるために息子家族と共にイギリスへ向かいます。
兼三郎が明子を亡くし、喪失感を抱えながら過ごす姿は、観ている側にもその辛さが伝わってきて胸が痛くなります。そして、彼は息子の慧(錦戸亮)に心を開くことができず、時には衝突してしまいます。客観的に観ていると、兼三郎が不器用なだけで、心の奥底では慧を必要としているように見えます。でも、それがなかなか上手くいかないのが家族。そんな歯痒い親子関係がどのように修復されていくのか注目です。
さらに、本作では、生前の明子と兼三郎の様子も描かれ、驚きの生活ぶりが綴られています。詳細は明かしませんが、彼らと同じような境遇の方は深く共感できると思いますし、夫婦観、家族観を今一度見直す機会になると思います。
本作はロードムービーとしての要素があり、旅の道中で自然豊かな湖水地方の様子も映し出されています。キャストには、主人公の兼三郎を演じたリリー・フランキーをはじめ、錦戸亮、木村多江、高梨臨、恒松祐里らが名を連ねています。観る方の環境や年齢により共感するキャラクターか変わりそうなので、まずは今観て、年月を空けて改めて観るとまた違う気づきがありそうです。
デート向き映画判定
恋愛というよりももっと深い夫婦愛が描かれた物語なので、これから結婚を考えているカップルや、夫婦で観ることをオススメします。また、夫婦として長い年月を過ごすなかで、楽しいこともあれば辛いこともあるという現実を突きつけられる部分もあるので、これを機にパートナーと今後の人生について話し合うのも良いと思います。
キッズ&ティーン向き映画判定
皆さんが本作を観てどんな感想を持つのか気になります。主人公がイギリスのウィンダミア湖を目指すロードムービーの要素がありつつも、夫婦や家族の物語がメインで描かれているので、今は共感が難しいかもしれません。まずは純粋な気持ちで本作を観て、大人になってから改めて観直すと、キャラクター達の心情により共感でき、物語への理解も深まるのではないでしょうか。
『コットンテール』
2024年3月1日より全国公開
ロングライド
公式サイト
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TEXT by Myson
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情報は2024年2月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。
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