REVIEW
これまで数々の芸術家の生き様が映画化されてきたなかで、本作の公式サイトに、「『幸福の画家』は幸せだったのか?幸福の画家の『妻』は幸せだったのか?」とあるのが気になり鑑賞しました。本作は画家ピエール・ボナール(1867-1947)と妻アルトの実話を基に描かれています。1893年にピエールとマルトはパリで出会い、ほどなくして一緒に暮らし始めます。始めのうちは穏やかに暮らしていたものの、マルトはピエールが他の女性と関係を持つことに気を揉み、2人の関係はこじれていきます。
映画公式サイトに、ボナールが生涯描いた作品数は2000に及ぶとあり、その多さに驚きました。それだけ絵に打ち込めたというだけでも、彼は幸せだったのかなと想像します。そのうち3分の1の作品には、マルトが描かれていたということで、マルトの物語としても興味を持たれる美術好きの方がいらっしゃるでしょう。本作では、クロード・モネとの交流にも触れられていて、絵画に興味がある方には余計に見どころが満載です。
芸術家の人生においてミューズの存在が描かれることは少なくありません。そして、その関係は複雑な場合が多い印象です。一途な恋愛でない場合、相手が一般人と芸術家で許す、許さないの違いはあるのか、ふと考えてしまいます。許したくない気持ちは同じだけれど、離れられない何かがあるのかもしれないとも感じます。また、単なる恋愛関係を超えた運命共同体のような存在だとすると、芸術家かどうかは関係ないのかもしれません。だから、本作は観る方によって、ピエールとマルトの関係の捉え方が変わりそうです。さまざまな視点でお楽しみください。
デート向き映画判定
ヌードシーンが複数あり、色恋沙汰が描かれている点で、デートで観るには気まずいでしょう。そして、特にモテる相手と交際中の方は、感情移入してヤキモキしてしまう可能性があります。だから、仲の良い友達と観て、心に溜まっている本音を聞いてもらうか、1人で観て自分の恋愛を見つめ直す機会にするほうが良さそうです。
キッズ&ティーン向き映画判定
大人の恋愛を描いていて、少し刺激が強いシーンもあるので、せめて大学生くらいになってから観るほうが良いように思います。さらに恋愛経験を経た上で観たほうが、より身近な感覚になれそうです。何が正解かは観る方によるものの、ピエールとマルトの関係は何かしら恋愛観の参考にできるところもあるでしょう。
『画家ボナール ピエールとマルト』
2024年9月20日より全国順次公開
オンリー・ハーツ
公式サイト
© 2023-Les Films du Kiosque-France 3 Cinéma-Umedia-Volapuk
TEXT by Myson
- イイ俳優セレクション/ヴァンサン・マケーニュ
- イイ俳優セレクション/ステイシー・マーティン(後日UP)